イベント集客の方法と戦略:企画担当者が知っておくべき成功のチェックリスト
企業イベントは、単なる「場づくり」から、「ビジネス成果を生み出すマーケティング施策」へと進化しています。
展示会、セミナー、ウェビナーなど、形式はさまざまですが、企画担当者に求められるのは集客戦略を企画段階から設計できる力です。
特にオンラインイベントの普及により参加のハードルは下がりましたが、他イベントとの差別化が難しくなりました。だからこそ、ターゲットに合わせた魅力的な企画設計と告知戦略の一体化が成功の鍵となります。
目次
イベント市場の拡大とその背景
日本のイベント市場は、コロナ禍を経て再び活況を取り戻しています。展示会やセミナー、オンラインイベントの開催が増え、BtoB企業でもリード獲得を目的に積極的な集客施策が行われています。今では、参加者の関心を的確に捉え、魅力的な体験を提供できるかが企画の成否を左右する時代です。
また、オンライン・ハイブリッド化の進展により、参加者のアクセスは容易になった一方で、他イベントとの差別化や魅力的なコンテンツ設計がより重要になっています。
「集客力」の定義
集客とは、単に「人数を増やすこと」ではありません。来場者の質と、イベント後のアクションまで設計できているかが重要です。
つまり、真の集客力とは「見込み客を動かす力」。イベントは「出会いの場」であると同時に、「信頼構築の入口」でもあります。
イベント集客の成功と失敗の分かれ目
イベントの集客は、「どれだけ人を集めたか」よりも「誰が、どんな目的で集まったか」で成果が決まります。成功と失敗の差は、企画段階の設計と、来場者体験の一貫性にあります。
成功例:来場数+満足度が高かった企画の共通点
- 目的とターゲットが明確に定義されている
- コンテンツ全体に一貫したストーリーやテーマがある
- 申込から来場までの導線がシンプルで迷わない
目的と対象が明確なイベントほど、告知メッセージがぶれず、参加者の期待に応える体験を設計できます。また、導線が整理されていることで、申込の離脱率も大幅に下がります。
失敗例:集客できても成果につながらなかった企画の落とし穴
- SNSで拡散されたが、ターゲット外の参加者が多かった
- 登壇者やテーマがバラバラで印象に残らなかった
- 事後フォローがなく、商談・リード化につながらなかった
一見盛り上がって見えても、「誰に何を届けたかったのか」が曖昧だと成果には結びつきません。集客はスタート地点であり、目的達成のための「設計」と「フォロー」が欠かせないのです。
イベント集客を左右する5つの要素

効果的な集客には、戦略・設計・発信・体験・継続の5つが不可欠です。
イベント参加の「メリット」を明確に伝える
イベント集客で最も重要なのは、参加者が「参加する価値」を直感的に理解できることです。単に日時や場所を伝えるだけでは、行動につながりません。
・解決したい課題や得られる知識を明示する:たとえば、展示会なら「最新の業界ソリューションを体験できる」、セミナーなら「実務に役立つノウハウを学べる」
・ターゲットごとにメリットを設計する:参加者の属性や関心に合わせて、文言や提供価値を変えることで、申し込み率が高まります。
タイトルとキャッチコピーで行きたくなる印象をつくる
人は論理よりも感情で行動します。タイトルやキャッチコピー、ビジュアルで「今すぐ行きたい」と思わせる仕掛けが大切です。
・具体的で目を引く表現を使う:「限定」「無料」「最新」などのキーワードは行動喚起に有効
・期間・場所・登壇者など唯一性を強調:例「3日間限定!業界トップが語る最新成功事例」
・簡潔で分かりやすい文章:一目で内容と魅力が伝わることが重要です。
イベント集客に効果的なチャネル選定と発信戦略
SNS広告・メール・自社サイト・協業企業・コミュニティなど、チャネルを広げるほど管理は難しくなります。
重要なのは「自社の顧客が実際に使っている場所」に合わせること。チャネル選定と発信タイミングが成功の鍵です。
・ターゲットに合わせてチャネルを選ぶ:BtoBならメールやLinkedIn、BtoCならInstagramやXが中心
・チャネルごとの役割を明確にする:SNSは短期集中の集客、メールは信頼構築とリマインド、LPは申込誘導
・発信のタイミングと頻度を最適化:早めの告知+リマインドで参加率が向上します。
「申し込みやすさ」を徹底的に追求する
申し込みのハードルが高いと、どんなに興味を持った人も離脱してしまいます。フォームや導線はシンプルに設計しましょう。
・必要項目を最小限に:名前、メール、参加区分など、本当に必要な情報だけに絞る
・クリック数を減らす:「申込3クリック以内」を目標に
・オンライン参加はワンクリックで入れる:URLやQRコードで簡単にアクセスできる設計が理想です。
イベント後もつながる仕掛けをつくる
集客はイベント当日だけで完結させず、次回や長期的な関係構築につなげることが重要です。
・フォローアップ動線:参加者アンケート、限定資料配布、2日以内のメール連絡で関係を維持
・紹介・拡散を促す仕掛け:SNS投稿キャンペーンや紹介特典を用意し、参加者が知り合いを誘いやすくする
・次回参加への動線:次回イベントの案内や招待特典を早めに通知することで、リピート参加を促せます。
デジタル・オフライン・ハイブリッドで考えるイベント集客の戦略

戦略を立てたら、次に考えるのは「具体的にどう動くか」です。イベント集客は単に告知をするだけでは成果につながりません。
ここでは、企画担当者が押さえておきたい考え方と実践ポイントをわかりやすく整理します。
デジタル活用:SNS・メール・ウェビナー連動
デジタル施策では、オンライン上で効率よくターゲットにアプローチすることがポイントです。SNSやメール、ウェビナーを組み合わせることで、短期間での認知拡大や信頼構築、参加促進を実現できます。具体的には以下のような施策が効果的です。
・SNS広告:短期集中型でターゲットにアプローチ
・メールマーケティング:信頼構築型で、案内+リマインドの2段構成が基本
・ランディングページ(LP):申込ボタンを複数配置し、行動を促す文言を使用
・ウェビナー連動:「登録→リマインド→録画共有」の3ステップ運用が成果につながります
オフライン施策:地場告知・コラボイベント・口コミ戦略
オフライン施策では、地域やリアルなつながりを活かして参加者を集めることがポイントです。地元の商工会や自治体、パートナー企業との協力を通じて、オンラインだけでは届かない層にもアプローチできます。具体的な方法としては以下のような施策が考えられます。
・地域密着型の告知:商工会や自治体の情報サイトへの掲載
・共催・コラボイベントの活用:パートナー企業と共同で開催
・口コミ・ネットワークの促進:既存顧客や参加者からの紹介
ハイブリッドイベントの集客ポイント
来場+オンライン参加の両立には、目的を分けた設計が必須です。
・オンライン:セミナーや資料閲覧中心で知識提供
・会場:体験型展示や商談中心で参加価値を提供
オンラインではセミナーや資料閲覧を中心に知識提供の価値を高め、会場では体験型展示や商談を中心に参加者の満足度を引き上げるなど、両方の役割を明確に分けることが重要です。
その上で、事前にオンライン・オフライン双方の参加者導線を設計し、誘導や案内を統一することで、全体として一貫性のある体験価値を最大化できます。
イベント集客の成果を上げる10の施策

イベント集客は、ターゲットに合わせたアプローチを複数のチャネルで組み合わせることが重要です。ここでは、企画担当者がすぐに活用できる具体的な施策を10個紹介します。
① SNS広告(X・Instagram・LinkedIn)
SNSは手軽にターゲット層へリーチでき、短期間で効果を上げやすいチャネルです。BtoBではLinkedIn広告が特に有効で、CTRが1.5〜2倍になるケースもあります。バナーやコピーには「限定・無料・最新」などのキーワードを意識し、イベント参加のメリットが一目で伝わる工夫が必要です。さらに、広告の配信タイミングやターゲティングを細かく調整することで、効率的に関心層に届きます。
② メールマーケティング
既存顧客リストや過去参加者リストに向けて「案内メール+リマインドメール」の2段構成で配信するのが基本です。件名は短く、数字や具体的な日程を入れると開封率が上がります(例:「3日後開催|無料セミナーのご案内」)。本文では、イベントの特徴や参加メリットを簡潔に伝えることが重要です。さらに、パーソナライズされた内容にすると、より高い反応が期待できます。
③ ランディングページ(LP)の最適化
申込率を高めるには、LPの設計が重要です。スクロール位置ごとに申込ボタンを配置し、「今すぐ登録」よりも「無料で学ぶ」「限定参加」など行動を促す文言を使いましょう。写真や動画を活用してイベントの雰囲気を伝えることも効果的です。また、スマホ対応や読み込み速度の最適化も申込率向上には欠かせません。
④ ウェビナー連動キャンペーン
リアルイベント前に、登壇者のコメントやティザー動画をSNSで発信することで、「この人の話を聞きたい」という期待を高め、申込数を20〜30%伸ばせます。ウェビナーの内容を事前に紹介することで、参加者が得られる価値を具体的に伝えられます。さらに、過去のウェビナーのアーカイブを紹介すると信頼感も増します。
⑤ 共催・パートナー施策
自社と親和性の高い企業と共催することで、互いの顧客リストを活用でき、新規層に効率的にアプローチが可能です。共催パートナーが持つ信頼性も加わるため、参加率の向上や集客コストの削減にもつながります。加えて、共催企業のSNSやメルマガでも告知してもらうことで、広範囲に拡散できます。
⑥ メディア掲載・プレスリリース配信
PR TIMESや業界メディアへの掲載は、SEO効果も高く、検索経由の流入増に貢献します。特に「イベント開催レポート」形式の記事は、イベント後の拡散や次回参加者への訴求にも有効です。また、メディア掲載時には参加者の声や写真を添えることで、よりリアルで魅力的な情報を提供できます。
⑦ オフライン媒体の活用
リアル展示会や業界団体の会報誌など、オンライン以外の接点も活かすことで、潜在的な参加者にリーチできます。BtoBイベントでは、名刺交換や業界ネットワーク内の口コミが申込動機になることも多いです。地域のフライヤーや掲示物を使った告知も、地場のターゲットには有効です。
⑧ 登壇者・スピーカーの個人発信
登壇者が自らSNSやブログで告知することで、信頼性と拡散力が向上します。参加者は「この人の話を直接聞ける」と感じることで、参加意欲が高まります。さらに、複数の登壇者が同時に発信することで、より広範囲への告知が可能です。
⑨ 紹介インセンティブ制度
「紹介した人にも特典、参加した人にも特典」を設ける紹介キャンペーンは、SNSや口コミとの相性が抜群です。既存参加者が友人や同僚を誘いやすくなり、新規層への認知拡大につながります。紹介者には限定コンテンツや特別チケットを提供すると、さらに動機付けが強まります。
⑩ フォローアップと次回案内
イベント後のフォローアップは最も重要な施策です。参加者への「お礼メール+資料共有+次回案内」を2日以内に送ることで、継続参加のサイクルを作れます。さらに、アンケートや感想の収集を組み合わせることで、次回イベントの改善にも活かせます。
イベント集客の成功事例3選
実際のイベントでどのように集客を成功させているのかを知ることは、企画担当者にとって非常に参考になります。ここでは、3つのイベントをピックアップし、それぞれの集客ポイントと、企画担当者が自社イベントに応用できるヒントを整理しました。
事例1.東北クリエイターエキスポ(Tohoku Creator Expo)

イベント概要
東北クリエイターエキスポは、宮城県仙台市を中心に開催されるクリエイター向けイベントです。来場者は2日間でのべ4,000人、うち約4割が20~30代の若年層という構成。短期間(約2週間)の告知期間ながら、SNS広告を中心に集客を行い、地域のクリエイターや企業を結びつける場として成功しました。
集客ポイント
・SNS特化型の告知:InstagramやTwitterで広告とオーガニック投稿を連動させ、ターゲット層に集中してアプローチ
・インフルエンサー活用:フォロワーの多いクリエイター・企業に告知協力を依頼し、認知拡大を実現。
・ターゲット/地域を明確化:若年層クリエイターにとって魅力的な「仕事につながる出会い」というテーマを前面に出す。
活用できるヒント
・SNS中心で短期間告知する場合は、広告・投稿量・インフルエンサー起用を事前に計画。
・イベントテーマはターゲットが「自分ごと化」できる内容にする。
・地域性や属性に特化した差別化を行うと、効率的に集客できる。
事例2.CancerX

イベント概要
CancerXは、がんの社会課題に取り組む産学官民の組織が主催するハイブリッドイベントです。参加者数は300〜1,000名規模で、医療・社会課題に関心がある層をターゲットにしています。
集客ポイント
・フォロワー機能活用:Peatixのフォロワー機能で過去参加者や興味を示した層に通知を送信。リピーター集客に成功。
・段階的割引チケット:超早割・早割・一般の3段階設定で早期申込を促進。学生・がん経験者向け割引も導入。
・招待コード活用:スポンサーや関係者向けにコードを配布し、紹介経由での参加を促進。
活用できるヒント
・ターゲットの関心領域に沿ったテーマを設定することで、共感と参加意欲を高められる。
・フォロワー・登録ユーザーのデータを次回集客に活用する。
・割引・招待コードを組み合わせて、早期申込と新規参加の両方を促進可能。
事例3.大地の芸術祭(越後妻有)

イベント概要
新潟県十日町市・津南町で開催される地域芸術祭で、作品鑑賞や体験型アートを通して地域活性化を図るイベントです。観光客やアートファンを対象に、SNSや公式サイト、自治体サイトを通じて広く告知。
集客ポイント
・SNS・オウンドメディア活用:InstagramやTwitterで作品や体験の魅力を発信。公式サイトやアプリも告知に活用。
・コラボイベント:地域宿泊施設やカフェ、ワークショップと連動し、参加者の利便性と体験価値を向上。
・自治体・商工会サイト掲載:地域の公式観光・情報サイトで広域的に認知を拡大。
・紹介・拡散施策:スタンプラリーやSNSシェア企画で自然な拡散を促進。
活用できるヒント
・イベントの地域性・属性(アート・地域活性)を切り口に差別化すると効率的に集客できる。
・体験型コンテンツやコラボを通じて、口コミや紹介を自然に生む仕組みを作る。
・SNSでの拡散を前提に、写真映えやシェアしやすいコンテンツを用意する。
イベント集客の実践チェックリスト

イベントの成功は「事前・当日・事後」の3フェーズでどれだけ準備とフォローができるかにかかっています。
以下のチェックリストをもとに、自社イベントの運営体制を見直してみましょう。
事前準備
・目的・ターゲット・KPIの整理:集客目標を数値で明確化し、成果基準をチームで共有。
・ペルソナ設定・メッセージ設計:想定参加者の課題・関心を言語化し、訴求ポイントを統一。
・告知スケジュールの作成:SNS・メール・プレス配信などを時系列で整理し、抜け漏れを防止。
・申込フォーム・LPのテスト:実際の申込動線をチームでチェックし、離脱要因を排除。
・登壇者・協力企業との連携確認:原稿や素材の締切、当日動線まで事前共有。
当日運営
・案内表示や導線の明確化:受付・会場・配信URLなどをシンプルに案内。
・トラブル対応フローの共有:通信トラブル・遅延・欠席時の代替案をあらかじめ決定。
・SNS投稿・現場レポートの発信:リアルタイム投稿で臨場感を伝え、拡散を促進。
・登壇者・来場者へのホスピタリティ:時間管理と丁寧な対応で満足度を高める。
・撮影・記録の実施:次回プロモーション素材として活用できるよう、記録を残す。
事後フォロー
・アンケート回収・参加者リスト整備:イベント終了後すぐにデータを整理・分類。
・メール・資料送付によるリード育成:「お礼+資料+次回案内」を基本パターンに。
・参加データをMA/CRMに連携:営業・マーケティング活動に活かす。
・SNS・メディアでの開催レポート投稿:成果を可視化し、次回への期待を醸成。
・次回案内や招待特典の発行:継続参加を促す仕掛けを組み込む。
イベント集客の落とし穴とその回避策
集客を成功させるには、うまくいかない原因を知ることも大切です。
この章では、担当者がつまずきやすいポイントと、避けるためのコツを整理します。
「告知をしたら来るだろう」という思い込み
単に告知を行っただけでは、見込み客は動きません。重要なのは、「なぜ今参加すべきか」を明確に伝えるストーリーです。例えば、セミナーなら「最新の事例を先行公開」「参加者限定の資料配布」といった、今しか得られない価値を提示すると反応率が上がります。告知文だけでなく、LPやメール、SNS投稿でも一貫して訴求することが大切です。
チャネルの多さによる運用負担
SNS、メール、協業パートナー、広告…チャネルを増やすと管理が複雑になり、更新や対応が滞って効果が下がります。BtoBであればメールとLinkedIn、BtoCならInstagramやXに絞るなど、最も効率的にターゲットに届くチャネルに集中する勇気が必要です。また、各チャネルでの投稿タイミングや内容も統一することで、ブレのない印象を与えられます。
メッセージのブレ
複数人で運営する場合、「誰が何を伝えるか」の軸がずれると、ターゲットに届く情報が不明瞭になります。登壇者、広報、営業など関係者間で訴求ポイントを共有し、統一ガイドラインを作ることが効果的です。例えば、タイトル・キャッチコピー・ターゲット属性を事前に文書化し、全員で確認しておくと混乱を防げます。
データを活かさない運営
参加者情報をCRMやMAに連携せず放置すると、次回以降の集客に活かせず機会損失になります。参加者の属性、申込経路、閲覧行動などを整理し、次回イベントのターゲティングやリマインド戦略に反映することが重要です。例えば、ウェビナーの参加者リストをもとに、興味テーマ別のメール配信や個別フォローを行うと、リード育成の効果も高まります。
まとめ:明日から使える3つのアクション
- ターゲットを具体的に言語化する
- 誘引メッセージを1行で伝える練習をする
- フォローアップ設計を最初に考える
これらを意識するだけで、イベントの「集客効率」は確実に変わります。
ターゲットを明確にすることで告知の精度が上がり、魅力的なメッセージで参加意欲を引き出せます。さらに、イベント後のフォローを計画しておくことで、リピートや紹介につながるつながりを作れます。
人を集めることは、人の心を動かすこと。企画担当者として、その力を磨いていきましょう。