2022.08.05

ライブコマースの始め方をプロが紹介-自社に合った開催方法も

リアルタイムで視聴者とやりとりしながら商品を購入してもらえるライブコマース。新型コロナウイルスの影響で需要が高まり、新規参入する企業も増えています。しかし、国内ではまだまだ事例が少なく、どのように始めればよいかわからないという方も多いのではないでしょうか。

今回は、ライブコマースの種類や始め方、さらに初めてのライブコマースを成功させるポイントも解説します。

ライブコマースとは?

ライブコマースとは、「ライブ配信」と「eコマース(ネットショッピング)」を掛け合わせた造語です。

ライブ配信の中で商品を紹介することで、ECサイトの写真や文章だけでは伝わりにくい、商品の使い方や実際の使用感、サイズや質感などを視聴者にわかりやすく伝えられます。

ライブコマース最大の強みは、視聴者と双方向にコミュニケーションを取りながら商品を販売できること。視聴者のコメントに対して、配信者がリアルタイムで答えながら疑問や不安を解消できるので、商品の購入につながりやすいのです。

中国では、すでにインフルエンサーによるライブコマースが盛んで、その市場規模は3千億元(約5兆7千億円)にも上るとされています。

近年の新型コロナウイルスの影響もあり、日本でも、ライブコマースを取り入れる企業が増えてきました。特に、これまで対面での販売をメインに行ってきた、カウンセリング化粧品やアパレルブランドでの活用が広がっています。

株式会社ネオマーケティングの2022年1月時点の調査*で、ライブコマースを視聴するユーザーに最も多いのが、「もともと商品に興味があって購入するか迷っている」というステータスです。配信で初めて商品を知ってもらうことを目的とするよりも、すでに商品の購入を検討している人を後押しする内容が有効といえます。

ライブコマースのプラットフォームの種類

ライブコマースの種類は、大きく3つに分けられます。自社サイトにシステムを埋め込んで行うライブコマース、アプリを使ってECサイトと連携させて行うライブコマース、そしてSNSを使ったライブコマースです。それぞれの特徴を解説していきます。

自社サイト埋め込み型のシステムを使ったライブコマース

自社のECサイトなどにライブコマースの機能を埋め込んで行う形態で、「SaaS型(Software as a Service)」と言われることもあります。システムを提供している会社に、プラットフォームの使用料を支払う形が一般的です。

大手企業がよく取り入れている手法で、自社サイトからの商品購入の促進や、さらなるファンの育成に効果的。自社ブランドが確立できており、自社サイトへの集客が十分に見込める場合におすすめです。

自社ブランドが確立されていない場合や、自社サイトへの集客がまだ十分でない場合には、アプリやSNSを利用する方法も考えましょう。埋め込み型は、他の形態に比べて導入などの費用がかかるので、予算の確保も必要です。

埋め込み型でライブコマースを行っている代表企業の一つが、大手化粧品会社の「資生堂」です。配信では、メイクアップアーティストや人気インフルエンサーたちが、資生堂の商品を使用してメイクやスキンケアを実践。商品の使用方法や購入を悩んでいる人からの支持を集めています。

アプリを使って配信するライブコマース

ライブ配信アプリのプラットフォームに顧客が集まっていて、ECサイトと連携させることで商品購入までつなげる形態です。基本的に、アプリ内の配信者(ライバー)が商品を売っていきます。

アプリを使ってライブコマースを行うには、プラットフォーム内に視聴者がいる必要があります。アプリのアカウントを1から立ち上げて商品を売っていくのは難易度が高いので、インフルエンサーやクリエイターとタッグを組んで行うのが効果的です。

ライブ配信アプリである「SHOWROOM」には、ライブ配信中にライバーが紹介したアイテムを購入できる「SHOPROOM」という機能があります。SHOWROOMで配信を行って、SHOPROOMで購入できるという流れです。

配信者がおすすめしている商品をタップすると詳細情報を確認でき、購入することができます。商品を購入できるだけでなく、配信者が欲しい商品を視聴者がプレゼントすることができるのも特徴です。

もう一つ代表的なライブコマース支援アプリとして、17 LIVE株式会社が提供する「HansUP」があります。HansUPは、ライブ配信から商品購入までをアプリ内で完結できるサービス。さらに、ライブコマース成功のためにコンサルタントが運用をサポートしてくれるので、ライブコマースが初めての企業も導入しやすいのが魅力です。

SNSを利用したライブコマース

TikTok、Instagram、Twitter、YouTube、LINEなどのSNSを使って行うライブコマース。SNSに備わっているライブ配信の機能を使って行う方法です。

SNSを使ったライブコマースはECサイトと直結しないので、概要欄やコメント欄などにURLを貼って外部のサイトに飛んでもらう必要があります。

SNSを使ったライブコマースの場合、どうしても一旦ライブコマースから離れてしまうデメリットはありますが、無料で行えて、スマホ1つあれば簡単にできるのが大きなメリット。SNSのフォロワーにアプローチできるので、フォロワーが多い企業は集客しやすい方法です。

2022年2月にYouTubeは、今後YouTube動画内でのショッピング機能、ライブショッピング機能を実装できるよう開発を進めていると発表しました。YouTube上でも手軽にライブコマースが行われるようになり、さらに盛り上がりを見せていくことが予想されます。

【ターゲット別】ライブコマースの始め方

ライブコマースは、新規顧客向けと既存顧客向けに分かれます。

よくある失敗が、新規顧客と既存顧客に向けて一緒にライブコマースを行ってしまうパターン。ターゲットを絞らないと新規顧客・既存顧客どちらにも刺さらない配信となってしまうので、必ずターゲットをどちらかに設定して行いましょう。

新規顧客向け
既存顧客向け
ポイント・企画、キャンペーンの設計
・サイマル配信(複数のプラットフォーム)
・エンタメ性のある配信
・自社内のスピーカーを起用
・定期配信
・お客様の課題を解決するコンテンツ
配信場所・YouTube
・自社メディア
・ECサイト
・Instagram
・TikTok
・LINE Live
・自社サイトやアプリ
→カートインがそのままできるシステムがあれば
自社サイトでなくてもOK

【新規顧客向け】ライブコマースの始め方のポイント

まずは、新規顧客向けのライブコマースの始め方を解説します。

配信者を選ぶ

新規顧客に向けたライブコマースでは、認知を拡大するために、社外の人材を配信者として起用することがよくあります。配信者にインフルエンサーやタレントを呼ぶのも良い方法です。

インフルエンサーやタレントを起用する場合には、知名度の高さだけでなく、自社ブランドや商品との親和性を重視して選ぶようにしましょう。

ゴール設定を行う

新規顧客向けのライブコマースでは、ゴール設定を「購入」にしないことがポイントです。

顧客が購入に至るまでの心理プロセス(パーチェスファネル)には、「認知」→「興味・関心」→「比較・検討」→「購入・成約」という4つの段階があります。1度のライブコマースで、認知から購入まで一気に行わせるのは難しいこと。

まずは、自社の商品やサービスを認知してもらい、ファンになってもらうことをゴールにします。具体的には、「SNSをフォローしてもらう」「次のライブコマースを見に来てもらう」等のゴール設定を行いましょう。

企画を練る

新規顧客を獲得するためのライブコマースでは、自社の商品やサービスについて新しく知ってもらう必要があります。興味を持ってもらうためにも企画がとにかく重要です。

まだ自社の商品やサービスを知らない視聴者が、「見たい」「ためになる」と思えるような魅力的な企画を考えましょう。トレンドを盛り込んだ内容にしたり、クーポンや限定商品のプレゼントを行ったりするのも効果的です。

プラットフォームを選ぶ

新規顧客を獲得するためのライブコマースでは、顧客を集めていきたい媒体、または力を入れていきたい媒体を選ぶのがポイントです。

YouTube、Instagram、TikTok、自社メディアなど、どこから流入を得て顧客を集めたいのかをよく検討しましょう。

【既存顧客向け】ライブコマースの始め方のポイント

続いて、既存顧客(リピーター)に向けたライブコマースの始め方をお伝えします。

配信者を選ぶ

既存顧客向けのライブコマースでは、基本的にインフルエンサーやクリエイターは使わないのがおすすめ。販売員さんや広報の方など、自社のスピーカーを起用しましょう。

自社内で配信者を選ぶ際には、その商品やサービスが大好きで愛用している人や、詳しく知っている人を選ぶのが重要です。ライブコマースでは配信者の熱量が伝わりやすいので、どの配信者を起用するかが、配信の成功を左右する大きな要因となります。

企画を練る

自社の商品やサービスが顧客の課題をどのように解決できるかを伝えることが、既存顧客向けのライブコマースのポイントです。

企画の中に「この商品(サービス)を使うことで、あなたの課題や困りごとがこのように解決できる」という内容を盛り込みましょう。

プラットフォームを選ぶ

既存顧客向けのライブコマースを行う際のプラットフォーム選びで重要なのは、ある程度トラフィックやコンバージョンがあるものを選ぶこと。

新規顧客向けと違って、基本的に商品やサービスを購入してもらうことが目的になります。そのままカートインできるシステムが自社サイトにあるのであれば、離脱を防げるのでベストです。

自社サイトではなく普段から、SNS、楽天市場などからの購入が多い場合は、それらのプラットフォームを使って行いましょう。

定期配信を行う

既存顧客向けには、定期配信を行っていくことがとても重要です。自社のアプリ内で定期配信をプッシュ通知でお知らせすることで、成功に繋がった事例もあります。

【プラットフォーム別】ライブコマースの始め方

プラットフォームを選ぶ際に確認しておきたいのは、「ECサイトとの連携の有無」です。自社のECサイトとの連携ができるかできないか、できるものがあればピックアップしておきましょう。

自社のECサイトではなく、BASEやShopifyなどのECサイトプラットフォームを使用している場合には、連携が難しいなどの制限もあるので注意が必要です。

ここでは、埋め込み型、アプリ、SNSそれぞれのプラットフォームにおけるライブコマースの始め方を解説します。

自社サイト埋め込み型のシステムを使ったライブコマースの始め方

自社サイト埋め込み型のライブコマースを始めるためには、以下の3点を決めておきましょう。

特にどのシステムを契約すべきかは悩む方が多いところです。代表的なプラットフォームシステムは、スマホもPCも両軸で運営できる「ライコマ」や楽天のサービスである「楽天ライブショッピング」、「自社でライブコマースできるくん」など。プラットフォームの月額料金を支払うことで、自社サイトにライブコマースを埋め込むことができます。

ライトな配信であれば、自社で準備から配信まで全てを行うことも可能です。しかし、まだ配信に慣れていない場合には、配信業者への依頼も検討しましょう。社内の負担の軽減やクオリティの高い配信につながります。

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アプリを使って配信するライブコマースの始め方

アプリを使ったライブコマースは、スマホ1台で手軽に始められるのが魅力です。

アプリを使ったライブコマースの場合、プラットフォームにいかにしてお客さんを集めるかも重要なポイント。インフルエンサーやクリエイターの活用をはじめ、プラットフォーム上で顧客を増やしていく工夫が必要です。

始め方は簡単で、基本的にアプリをダウンロードしてアカウントを作成すれば、配信ができるようになります。適正な手続きを踏むことで、公式アカウントとしてのバッジやマークをつけてもらえる場合もあるので検討しましょう。

代表的なアプリ版ライブコマースは「HandsUP」です。17LIVEが運営しているライブコマースアプリで運用支援もしてくれます。

SNSを利用したライブコマースの始め方

SNSを利用したライブコマースも、アプリ同様始め方は簡単で、企業のアカウントを持っていれば配信をスタートできます。

全国の20歳〜69歳の男女1,000人を対象とした調査結果*によると、利用しているライブコマース・アプリとして、以下の結果が出ており、1位〜4位までをSNSが占めているのが分かります。

1位:YouTube(42.8%)
2位:Instagram(19.2%)
3位:Facebook(11.0%)
4位:TikTok(6.8%)
5位:Rakuten LIVE(3.4%)
6位:SHOPROOM(2.9%)

特にYouTubeは、他のSNSに大差をつけています。YouTubeはスマホで配信できますが、カメラなどの機材を準備した上で配信するのがおすすめです。

Instagram、Facebook、TikTokはスマホ1台で配信できます。しかし、フォロワーがいることが大前提となるので、まずはフォロワーを増やすことに注力しましょう。

SNSを利用したライブコマースの場合、ライブ配信自体を学ぶ必要があります。機材の準備や、配信方法を自社で学んでいく姿勢が重要です。

*出典:株式会社ネオマーケティング

初めてのライブコマースを成功させるポイント

最後に、初めてのライブコマースを成功させるポイントを4つ紹介します。ポイントを意識するかどうかで、ライブコマースの反響が大きく変わってきますので、よく確認しておきましょう。

①インターネット回線の質を担保する

ライブコマースを行う中で多いのが、ネット回線トラブル。途中で配信が途切れてしまったり、不安定になったりすると、顧客が離脱する大きな原因になります。

回線トラブルを起こさないためには、インターネット回線の質を事前に調べておき、できれば有線LANを使うのがポイントです。

②配信者の選定は慎重に行う

ライブコマースで商品が売れるかどうかは、配信者にかかっていると言っても過言ではありません。ポイントは、視聴者に熱量を伝えること。配信者自身が、紹介する商品を心から「良い」と思っていて、「人におすすめしたい」という思いを持っていることがとても重要です。

最近のトレンドとしては、自社の広報担当スタッフがライブコマースを行うことが増えています。商品の価値や良さを理解している自社の担当者や、ショップ店員を起用する場合もあります。その場合、商品の良さを人に伝えるプレゼン力がある人材を選ぶようにしましょう。

また、インフルエンサーやクリエイターなどを配信者に選ぶ方法もあります。社外の人材を起用する場合には、社内のスタッフと商品の良さや配信の進め方について打ち合わせを行っておくことが大切です。

最終的には、配信の目的や、ターゲットに合わせて配信者を決定していきましょう。

③視聴者からの見え方を意識する

「視聴者が見ていて快適か」「商品を欲しいと思ってもらえるか」という視点が重要です。

暗いスタジオで配信していたり、音声が聞こえにくかったりすると、商品の良さを十分伝えられず購入につながりにくくなります。

大前提として、視聴者が見ていて快適な環境を整えることが大切です。商品や配信者にしっかりライトを当てて、音声が聞き取りにくいことがないように調整しましょう。

④配信の構成を考えておく

ライブコマースを行う際に、コメントありきでスタートするのは危険です。配信を始めてもコメントが来ない可能性も十分考えられるので、その場合を想定した配信内容を考えておきましょう。

初めは商品紹介を行い、視聴者がある程度増えてから質問タイムを設けるなど、配信の構成を練っておきます。逆に予想以上にコメントが多く来る場合もありますので、臨機応変に対応できるよう、何通りかのパターンを想定しておくと良いですね。

⑤機材を使う

スマホだけで配信するのではなく、カメラを使うのも、ライブコマースを成功させるポイントです。以下の表に、スマホ配信とカメラ配信のポイント・メリット・デメリットをまとめました。

スマホ配信
カメラ配信
ポイント
・低予算でもライトに配信できる
・誰でもライブコマースができる
・複数のSNSに同時配信ができる
・テロップやロゴなどの装飾ができる
・配信を録画して動画コンテンツとして
二次利用できる
・イベント感を演出できる
デメリット
・遅延などの配信事故が起きやすい
・映像のクオリティが低く良さが伝わらない
・配信できるSNSが限られてしまう
・機材代がかかる
・内製化に1, 2ヶ月かかる
メリット
・誰でもライトに配信ができる・複数のSNSに同時配信ができる
・エンタメ性を演出できる
・二次利用でコンテンツが作成できる

カメラを使って配信することで、エンタメ性のあるクオリティの高い配信が可能になり、圧倒的に離脱を防げます。テーマテロップを表示しておけるので、途中から参加した視聴者が配信内容を理解できるのも良い点です。

また、複数のSNSへ同時配信を行うことでチャネルを増やしたり、配信を収録して二次利用したりすることもできます。

初期費用はかかってしまうものの、クオリティの高い配信を目指すのであればカメラ配信がおすすめです。機材は100万円以内で揃えられますので、ぜひ導入を検討してみてください。

自社に合った方法でライブコマースを始めよう!

ライブコマースの実施は、配信の目的とターゲットを明確にすることから始まります。目的とターゲットが決まったら、適切な配信者を選び、どのプラットフォームを使うのが良いかを検討しましょう。

今回紹介した、初めてのライブコマースを成功させるための5つのポイントも参考にしながら、準備を進めてみてください。

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運用開始までの流れは以下の通りです。

  1. 資料請求とオンラインでの打ち合わせ
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導入後も、社内でライブコマースの内製化ができるようサポートさせていただきます。

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