イベントプロモーションとは?集客・運営・フォローまで

イベントプロモーションは、単なる集客ではなく、参加者に価値ある体験を提供し、ブランド認知やリード獲得につなげるマーケティング施策です。
本記事では、準備や戦略設計、集客、当日の運営、事後フォローまでの流れを解説し、成功事例も交えて実践的に紹介します。
目次
イベントプロモーションの基本と目的
イベントプロモーションとは
イベントプロモーションは、イベントを通じて自社の商品やサービスを顧客にアピールするマーケティング施策です。単なる集客ではなく、参加者に価値ある体験を提供することで、ブランド価値の向上やリード獲得、商談化につなげることが目的です。具体的には展示会やセミナー、ウェビナーなどを通じて、参加者との関係性を構築します。
BtoB企業でイベントプロモーションが重要な理由
BtoB企業では、イベントプロモーションは特に重要です。直接顧客と接点を持つことで商談化効率が高まり、ナーチャリングやリード育成にも効果があります。また、イベントを通じて企業の専門性や信頼性をアピールでき、デジタル施策だけでは届かない層へのアプローチも可能です。
集客は手段であり目的ではない
イベントの集客はあくまで手段です。成果に直結する商談化やリード育成をゴールに設定し、KPIをもとに改善することが成功の鍵です。
イベントプロモーションのメリット・デメリット
イベントを企画するときには、成果を上げるチャンスがある一方で、準備や運営の負担も伴います。まずは、成功につながる利点と注意点を整理してみましょう。
メリット
イベントプロモーションは、ブランド認知向上や参加者との関係構築、リード獲得・商談化など、さまざまなマーケティング成果をもたらします。特にBtoBでは、直接顧客に接触できるため、営業活動に直結するリードを獲得しやすく、参加者の声を反映した次回施策や商品改善にもつながります。
- ブランド認知の向上
- 参加者との双方向コミュニケーション
- 見込み顧客のリード獲得・商談化
- 顧客理解やファン化の促進
デメリット
イベントプロモーションには、コストや運営リスクも伴います。事前準備や人員配置、会場確保などの負担が大きく、集客が思うように進まない場合は費用対効果が下がる可能性もあります。
- 準備・運営コストが高い
- 成果が出るまでに時間がかかる
- 当日運営のリスク
- 集客が思うようにいかない場合の効果低下
イベントプロモーションの具体例

イベントにはさまざまな形式があり、目的やターゲットによって活用方法も変わります。
この章では、代表的なイベントの種類を紹介し、それぞれがどんな場面で効果を発揮するのかを整理していきます。
展示会 | 自社の製品やサービスをブース形式で展示し、来場者へ直接説明やデモを行うイベント。BtoBではリード獲得の主戦場として使われることが多く、商談化までの接点づくりに有効。 |
講演会・セミナー | 特定のテーマについて専門的な情報提供を行う教育型イベント。見込み顧客の課題を整理しながら信頼形成を促進でき、リードナーチャリングに強い形式。 |
記者会見 | 新サービスや企業戦略をメディアへ発表する広報型プロモーションイベント。話題化・報道露出を狙い、ブランドの社会的信頼や業界内の存在感を高める目的で行われる。 |
周年イベント | 創立記念や事業◯周年などに合わせたイベント。ブランドストーリーを再定義する機会にもなり、従業員や取引先・顧客との関係を再構築するための戦略的活用が増えている。 |
フードイベント | 飲食を軸に体験価値を生むイベントで、商品試食やブランド体験型のマーケティングとして使われる。企業による地域活性プロジェクトや新商品体験施策としても多い形式。 |
音楽イベント | 音楽ライブやフェスなどエンタメ型プロモーションイベント。企業タイアップやスポンサー施策と親和性が高く、若年層へのブランド認知や感情訴求に効果的。 |
スポーツイベント | 試合やスポーツ大会、共同開催型イベントなどを通じてブランド接触を生む形式。健康や挑戦のイメージと結びつくため、企業CSRや雇用ブランディングにも利用される。 |
地域イベント | 地域活性化や地域PRを目的とした案件。自治体や地元企業と連携することが多く、観光促進や地域ブランド強化に効果的。企業の社会貢献活動としても活用される。 |
ゲーム・eスポーツイベント | eスポーツ大会や対戦イベントなど、参加型エンターテイメント施策。オンライン配信と相性が良く、若年層マーケティングやデジタルプロモーションと組み合わせやすい。 |
これらを自社の目的やターゲットに合わせて選択し、戦略的に設計することが重要です。
イベントプロモーション成功のポイント
イベントは開催することがゴールではありません。「集客できたけど成果が出ない」「やりっぱなしで終わってしまう」ケースが多いのは、戦略設計が不十分なためです。
成功のポイントは、最初の設計から終了後のフォローまでを一本のストーリーとして捉えること。狙うべきターゲットは誰か?目的はリード獲得か商談かブランド認知か?それに合わせた集客設計と当日の体験設計が必要です。さらに、イベント後のフォロー次第で成果は何倍にも変わります。
次のパートからは、準備・集客・当日運営・事後フォローを体系的に分解し、「実際に成果を出すイベントプロモーション」の進め方を解説します。
イベントプロモーションの準備と戦略設計

イベントをただ開催するだけでは成果は出ません。誰に届けたいのか、何を目標にするのかを考え、方向性を固めることが大切です。本章では、計画段階で押さえておきたいポイントを紹介します。
参加者像を明確にして狙いを定める
ターゲット設計はイベント成功の基盤です。誰に届けたいのか、どのような行動を促すのかを明確にすることで、集客や商談化の精度が高まります。ペルソナを詳細に設定することで、参加者のニーズに沿ったコンテンツやメッセージを設計できます。
目標と指標を決めて成果を見える化
KGI(最終ゴール)とKPI(中間指標)を明確に設定することで、計画段階や当日の判断がスムーズになります。KGI例としては商談化数やリード獲得数、KPI例としては申込数、参加率、アンケート回収率などがあります。指標を明確にすることでPDCAを回しやすくなります。
競合に差をつける魅力的な企画作り
他社との差別化軸を明確化し、イベントテーマや演出、提供価値を設計します。差別化されたコンセプトは参加者の興味を引き、ブランド価値向上やリード獲得につながります。また、運営体制やスケジュール、役割分担を整理することで、当日の運営トラブルを防ぎます。
イベントプロモーションの集客戦略

多くの人に参加してもらうには、ただ情報を発信するだけでは不十分です。参加者が興味を持ち、行動したくなるような工夫や仕組みを考える必要があります。
参加者に届く告知の工夫
ターゲット層に最適なチャネルを選定することが重要です。SNS、Web広告、メールマガジン、プレスリリースなどを組み合わせ、既存リストや過去参加者へのアプローチも組み込みます。チャネルごとにメッセージやデザインを最適化することで、クリック率や申込率の向上が期待できます。
迷わず申込める導線作り
ランディングページには日時や内容、参加メリットを明示し、申込フォームは簡潔に設計します。CTAを複数箇所に配置し、スマホ対応を意識することで離脱率を下げ、申込率を高められます。告知スケジュールも、初回告知→リマインド→直前告知の段階的アプローチが有効です。
ツールを活用した効率的なアプローチ
MA(マーケティングオートメーション)ツールを活用することで、過去申込者やWeb訪問者へのフォローアップを自動化できます。行動に応じたメール配信やスコアリングにより、商談化率の向上が期待できます。
イベントプロモーション当日の成果を高める工夫
イベント当日は、参加者がどんな体験をするかで印象が大きく変わります。限られた時間の中で、満足度を高めるための工夫を知っておくことが重要です。
参加者満足度を高める演出と体験設計
当日のイベントは「参加者にどれだけ価値ある体験を提供できるか」が鍵です。体験型コンテンツやワークショップ、質疑応答セッションを取り入れることで、参加者の関与度を高め、満足度向上につながります。例えば展示会では、製品を実際に体験できるブースを設置したり、セミナーでは参加者が討議できるワークを用意することが効果的です。
- 体験型ブースで製品・サービスに触れる
- Q&Aやワークショップで参加者の能動的関与を促す
- スライドや動画だけでなく、五感で感じる要素を追加
データ取得とリアルタイム活用
当日の参加者行動を記録することで、事後フォローや商談化に直結します。受付情報やアンケート、参加ログをMAやCRMと連携し、スコアリングや商談優先度の判断に活用します。リアルタイムで関心の高い参加者を把握して、イベント中に声をかける「即時対応」も効果的です。
離脱防止とリテンション施策
コンテンツのメリハリや休憩タイミングの設計、誘導サインの工夫など、離脱を最小化する工夫が重要です。また、当日参加者にアンケートやSNSシェアを促すことで、参加者の関与度を高めつつ、ブランド露出も増やせます。
イベントプロモーション後のフォローと成果最大化
イベントが終わったあとも関係性は続きます。次のアクションにつなげるために、どのように振り返りや対応を行うかを考えることが成果につながります。
アンケートで満足度と関心度を可視化
イベント終了後にアンケートを実施し、参加者の満足度や関心度を把握します。ここで収集した情報は、商談優先度の判断や次回イベントの改善に役立ちます。具体的には、イベント内容、登壇者、コンテンツの評価、今後の資料請求希望などを確認します。
- 満足度・関心テーマ・資料請求希望を確認
- 回答内容をもとにリードスコアリング
- 次回イベントやコンテンツ改善に活用
自動化フォローで関心を維持
ナーチャリングシナリオを設計し、参加者の関心に応じたフォローを自動化します。メール配信や資料提供、関連コンテンツ案内などを適切なタイミングで送ることで、商談化率を高めることが可能です。特にイベント直後の72時間以内のフォローは効果的です。
- 関心度別のフォローシナリオ設計
- 自動化メール・資料送付で効率的にアプローチ
- イベント直後のタイムリーなフォローで関心維持
営業連携とコンテンツ活用で長期成果を創出
営業チームと連携し、参加者の関心テーマや参加履歴を共有することで、商談化率を最大化できます。また、イベントで作成した資料や動画をWebサイトやSNSで再活用することで、参加できなかった層への情報提供や、長期的なマーケティング資産としても活用できます。
イベントプロモーション成功事例
ここでは、実際に成果を上げた3つのイベント事例を紹介します。
オムロン「国際ロボット展・Smart Factory EXPO」|課題解決型展示会プロモーション

参考:OMRON
オムロンは展示会出展において、単なる製品紹介ではなく「課題解決提案型ブース」を導入。製品ラインアップを並べるのではなく、「自動化で人手不足を解決」「不良品削減」「省エネ化」といったテーマ別の展示導線を設計することで、来場者が自分に関連する情報へたどり着きやすくするUXを構築しました。
さらに、展示会運営にマーケティングオートメーション(MA)とCRMを連携させ、来場者の名刺情報・興味分野・デモ体験ログをSalesforceに自動連携。展示会後の商談化率を過去比で大幅に改善し、「追客がしやすい展示会運営モデル」として業界内でも注目されました。
カルビー「Fan With! Project」|ファン共創型フードイベント

参考:カルビー
カルビーは「Fan With! Project」で、単なる試食や販売ではなく、ファンと一緒に商品開発・体験価値を創るイベント型プロモーションを実施しました。参加者がアイデアを出したり、商品に触れて感想を共有できるワークショップ形式を取り入れたことで、参加者の当事者意識とブランドロイヤルティが大幅に向上しました。
また、イベントの様子をSNSで発信する仕組みを作ることで、参加者だけでなくオンライン上でもブランド体験を拡大。イベント後には、参加者に応じたフォローアップメールや限定情報配信を行い、リードナーチャリングも兼ねています。
地域イベント「eスポーツ×地域活性化」|地域創生型プロモーション
ある地方自治体では、eスポーツ大会を開催し、地域活性化と観光誘致を狙ったプロモーションに成功しました。オンライン配信と現地参加を組み合わせたハイブリッド形式により、遠方のファンも巻き込むことができ、参加者数やSNSでの露出を最大化しました。
さらに、イベント内で地域特産品のブースや観光情報を紹介し、単なるゲーム大会ではなく地域体験型プロモーションとして設計。結果として、地域への関心や交流人口を増やすことに成功し、行政・地元企業・住民の三者連携で長期的な地域ブランディングにも貢献しています。
まとめ
イベントプロモーションは、単に参加者を集めるだけの手段ではなく、ブランドの魅力を伝え、顧客との関係を深めるための重要なマーケティング施策です。成功させるには、誰に届けたいかを考え、目標を設定し、他社との差別化を意識した企画を作ることが大切です。さらに、集客や当日の運営、事後のフォローまでを一貫して計画することで、短期的な成果だけでなく、長期的なブランド価値の向上にもつながります。
今回紹介した具体例や戦略を参考に、自社の目的やターゲットに合わせたイベントを設計することが、成功への第一歩となります。