2025.10.25

【2025年版】キャンペーン企画完全ガイド|最新トレンドと実践アイデア10選

SNSの情報量は過去最大、ユーザーの関心は移ろいやすく、広告はスキップされる時代。
そんな中で「キャンペーン企画」は、単なる販促ではなくブランドと顧客の関係をデザインするマーケティング戦略へと進化しています。

かつては「売上を上げるための一時的な仕掛け」だったキャンペーンも、いまや共感・参加・データを軸に継続的な関係を築く施策へ。

本記事では、2025年の最新トレンドを踏まえながら、「成果を生むキャンペーン企画」の考え方と実践ステップを体系的に解説します。

キャンペーン企画の前に知っておきたい「キャンペーン」とは?

そもそも「キャンペーン」とは、特定の目的を持って期間限定で行うマーケティング活動を指します。新商品の認知拡大、既存顧客の再購入促進、イベントへの参加誘導など、ゴールはさまざまですが、共通しているのは「ターゲットに行動変化を促す」ことです。

一方で、似た言葉に「プロモーション」「広告」「イベント」があります。
それぞれの違いを整理しておきましょう。

用語主な目的特徴
キャンペーン行動変化を促すための一連の仕組み期間限定・複数チャネルを横断
プロモーション商品・サービスを広めるための活動全般広告、販促、PRなどを含む上位概念
広告メディア上での露出・告知単発的・メッセージ発信が中心
イベント体験を通じたコミュニケーション対面・オンラインの双方向性が強い

つまり、キャンペーンはプロモーション施策の中の実行単位であり、広告やイベントなどを組み合わせた「戦略的なパッケージ」なのです。

さらに近年では、SNSやMA(マーケティングオートメーション)、CRM(顧客管理)との連携が進み、デジタルを基盤としたキャンペーンが主流になってきています。
見せて終わりではなく、データを活かしてつなげる設計が求められています。

キャンペーン企画がいま見直されている理由

情報過多の今、消費者は「自分に関係あるもの」しか目に入れません。
どれだけ豪華なキャンペーンを打っても、自分ごと化」されなければ反応しないのが現実です。

そこで注目されているのが、「共感」や「体験価値」を中心に設計するキャンペーン企画。
単なるプレゼント企画ではなく、ブランドの想いや世界観に共感し、ユーザーが自発的に参加したくなる仕組みが重視されています。

さらに、キャンペーンはもはや単発施策ではなくなりました。SNSフォローやメール登録など、中長期的な関係構築(リードナーチャリング)の起点として位置づけられています。
つまり、キャンペーン企画は「ブランドと顧客の対話のきっかけ」をつくる活動へと進化しているのです。

キャンペーン企画の基本ステップと成功の条件

ここでは、どのようにキャンペーン企画を立て、成果へとつなげるかを5ステップで整理します。

① 目的とKPIを明確にする

「売上を伸ばしたい」「認知を広げたい」などの抽象的な目標ではなく、誰に・何を・どの行動を促したいのかを具体的に設定します。KPIは「応募数」「CVR」「SNS投稿数」「リード獲得件数」など、目的に直結する指標を選定します。

② ターゲットとインサイトを掘り下げる

性別・年齢・職業といった属性情報に加え、行動データや心理データから「なぜその商品を選ぶのか」を理解します。共感型キャンペーンを設計するうえで、感情のスイッチを知ることが鍵です。

③ コンセプトを立てる

「どんな体験を提供するか」「どんな感情を喚起したいか」を軸に、メッセージを設計します。例えば「挑戦を応援する」「未来を描く」など、物語性のあるコンセプトは記憶に残りやすいです。

④ チャネルと施策を選定する

SNS・メール・広告・イベント・LPなど、目的とターゲットに応じて最適な組み合わせを設計します。リアルとデジタルを融合させるハイブリッド型が主流です。

⑤ 効果測定と改善

KPIをもとに成果を定量化し、PDCAを回します。MA/CRMツールを使えば、データ収集から分析・改善までを一元化できます。これらを実行できて初めて、キャンペーンは「戦略的に成果を出す仕組み」になります。

キャンペーン企画における最新トレンド5選(2025年版)

近年のキャンペーン企画では、単なる賞品訴求や割引だけでなく、データ活用や共感型、参加型の設計がより重要になっています。ここでは、最新のトレンドとして押さえておきたい5つのポイントを紹介します。

1. データドリブン設計とMA/CRMの活用

キャンペーンは感覚で企画する時代からデータで設計する時代へ。行動データをもとにセグメントを作成し、MAで自動化、CRMで追跡する。結果を可視化することで、成果の再現性が高まります。さらに、顧客の過去の反応を分析することで、よりパーソナライズされたメッセージやオファーを提供でき、エンゲージメントの向上にもつながります。

2. SNS×リアルをつなぐハイブリッド企画

オンラインで参加し、リアルで体験する仕掛けが人気です。例えば、SNS投稿でイベント参加権が得られる仕組みや、来場後にSNS拡散を促す設計など、デジタルとリアルの循環がブランド体験を拡張します。また、来場データや投稿データを組み合わせることで、次の施策に活かせる顧客インサイトが取得できる点もメリットです。


3. 共感ストーリー型のブランド訴求

Z世代を中心に、「企業の姿勢」や「物語」に共感して参加する傾向が強まっています
単なる賞品訴求ではなく、「このブランドを応援したい」と思えるストーリードリブンな設計が鍵です。加えて、動画やSNSでストーリーを展開することで、短期間でも高い拡散力を生み、ブランドの認知度と好感度の両方を獲得できます。

4. ユーザー共創型・参加型キャンペーン

UGC(ユーザー生成コンテンツ)を活かした共創型のキャンペーンが拡大中。ユーザーが投稿・投票・制作に関わることで、自分ごと化と拡散力が同時に生まれます。
さらに、ユーザーの声やアイデアを反映することで、ブランド側も新しい発想や製品改良のヒントを得られるというメリットがあります。

5. サステナブル・社会貢献を取り入れた文脈設計

環境配慮・地域支援など、社会的意義を持つキャンペーンが増加しています。企業の理念やCSRと結びつけることで、ブランドの信頼性を高めることができます。
近年では、社会貢献活動と連動した体験型キャンペーンが特に支持されており、消費者が参加することで自らも価値創造に関わる感覚を得られるのも特徴です。

キャンペーン企画の事例10選

キャンペーンのアイデアは多種多様ですが、実際に成果を上げた事例を知ることで、自社の企画に取り入れられるヒントが見えてきます。ここでは、実施方法とポイントを整理した10の事例を紹介します。

1. SNS投稿で参加するフォトコンテスト

事例:ネイルブランド「NAIL HOLIC」が実施した「#ネイルホリックフォトコン2025」では、Instagram公式アカウントをフォローし、ハッシュタグ「#ネイルホリックフォトコン2025」を付けて写真を投稿、またはコメントで応募する形式を採用。優秀作品には賞品を提供。

ポイント:写真投稿とコメント投稿の2パターンで応募できるため、参加ハードルが低く、多くのユーザーを巻き込みやすい。SNS投稿を通じてUGC(ユーザー生成コンテンツ)が自然に拡散し、ブランドの認知拡大につながった。ネイルという“映える”テーマがSNSとの親和性を高め、共感・拡散を促進。

参考:ネイルホリックフォトコン2025

2. 限定クーポン・割引キャンペーン

事例(概要):沖縄ファミリーマートが「フォロー+応募で無料引換クーポン」を配布したキャンペーン(Instagram/LINEでの友だち追加連動)。クーポンは店舗来店時に使用でき、短期的な来店増に寄与。

ポイント:SNSやLINEの友だち追加を条件にクーポンを配布することでデジタル接点を増やし、来店→追加購買を期待できる。配布回数や利用期限で限定感を出すのが肝。

参考:株式会社沖縄ファミリーマート「アーモンドミルクラテ」のプレゼントキャンペーン

3. リード獲得型アンケートキャンペーン

事例(概要):スカイマークが搭乗後QRで誘導する「搭乗後アンケート+抽選プレゼント」キャンペーンを実施。回答者の連絡先を活用して定期キャンペーン案内やCRM連携に活用できる仕組み。

ポイント:搭乗券やレシートなど既存の接点にQRを印刷し誘導することで高い回答率を確保。抽選やプレゼントでインセンティブを付与する設計が重要。
参考:導入事例(搭乗後アンケート×抽選)。

参考:スカイマーク搭乗後アンケートのプレゼントキャンペーン


4. イベント連動型キャンペーン

事例(概要):JRA(日本中央競馬会)が開催した「スタンプラリーチャレンジ」など、イベントエリア内の複数拠点を巡るデジタルスタンプラリーで回遊を促進。来場者にスタンプ達成特典を付与して、会場内回遊・消費を増やした。

ポイント:イベント連動は「来場動機」を作りやすく、デジタルスタンプとクーポンを組み合わせることで来場→消費→データ取得までつなげられる。

参考:JRA(日本中央競馬)スタンプラリー


5. プレゼント抽選キャンペーン

事例(概要):さまざまな企業がSNS(X/Instagram)で「フォロー&リツイート(リポスト)」型の抽選プレゼントを継続的に実施。OWNLYやCAMTSUKUなどの事例集に多数掲載されており、アプリDLやメール登録への導線としても有効。

ポイント:拡散力を狙うなら「フォロー+リポスト」が鉄板。賞品の魅力度と発表・フォローアップの見せ方で参加率が変わる。


6. ゲーミフィケーション(スタンプラリー・クイズ)

事例(概要):自治体・観光地・商業施設でのデジタルスタンプラリー導入事例(例:三重県松阪市、犬山市、富士急など)。スマホでスタンプを集めると限定グッズやクーポンがもらえる仕組みで周遊促進に成功している。

ポイント:QRやGPSでスマホ完結にすると参加の心理的ハードルが下がる。回遊設計と連動した特典設計で消費単価向上にもつながる。

参考:「富士急ハイランド」×「推しの子」コラボキャンペーン


7. ユーザー共創型キャンペーン

事例(概要):無印良品の「くらしの良品研究所」やゼクシィの「花嫁カフェ」など、ユーザーの声を商品開発やコンテンツ作りに取り入れる共創プログラム。アンケートやワークショップ、投稿募集を通じてアイデアを収集し、公式で反映する。

ポイント:参加したユーザーが「採用される」体験を持つとロイヤルティが高まる。公開フィードバック(採用例や改善報告)を出すと信頼が厚くなる。

参考:無印良品の「くらしの良品研究所」

8. インフルエンサーとのコラボ企画

事例(概要):資生堂など大手化粧品ブランドがTikTokやInstagramでインフルエンサーを起用したチャレンジ/投稿企画(例:資生堂の#エリクシールチャレンジ等)や、ローソンが料理研究家リュウジ氏とコラボして短尺動画で商品活用法を紹介する施策など。インフルエンサーの信頼を借りることで短期間での認知拡大とエンゲージメント獲得に成功。

ポイント:インフルエンサー選定は「信頼性(専門性)×リーチ×共感率」が鍵。投稿形式(レビュー/チャレンジ/ライブ等)を意図に合わせて選ぶ。

参考:ローソンと料理研究家リュウジ氏のコラボキャンペーン

9. 社会貢献・サステナブル型キャンペーン

事例(概要):FamilyMart の「フードドライブ」など、企業とNPO/自治体が連携して実施する社会貢献キャンペーン。商品回収・寄付や参加型の寄付プログラムを通じて、ブランドの社会的信頼性を高める取り組み。

ポイント:CSRと紐づける際は「活動の可視化」と「参加者へのフィードバック(結果報告)」を必ず行うこと。共感による拡散とブランド好感度向上が期待できる。

参考:FamilyMart の「フードドライブ」

10. 限定コンテンツ・先行体験キャンペーン

事例(概要):カプコンの「モンスターハンター USJ祭」先行体験招待や、化粧品ブランドの新製品先行モニター(エリクシール等)など、ファンや関心層を抽選で先行招待・体験させ、SNS発信を促す施策。事前に体験してもらうことで発売前の話題化と初動の購買促進につながる。

ポイント:体験者をSNS発信のアンバサダー化し、事前レビューやUGCで流通前にバズを作る。招待枠は希少性を出すと効果的。

参考:カプコン「モンスターハンター USJ祭」体験レポーター募集

キャンペーン企画を成功に導くデータ活用とツール連携

デジタル化が進む中で、ツール連携による効率化と可視化は欠かせません。
MA(マーケティングオートメーション)はリード獲得後の育成に、CRM(顧客関係管理)は顧客データの一元管理に活用されます。

例えば、HubSpotやSalesforceなどを使えば、

といった仕組みを構築可能です。

これにより、「実施して終わり」ではなく「成果を分析し、次につなげる」キャンペーン企画が実現します。

キャンペーン企画のこれから|参加されるから共に作る時代へ

これからのキャンペーン企画は、「企業が仕掛ける」ものではなく、「ユーザーと共に作る体験」へと変化します。その中心にあるのは「共感」と「継続的な関係性」です。

キャンペーンを通じて得たデータやコミュニケーションは、単なる数字ではなくブランドの資産。1回限りの接点を、次の購買やファン化へつなげる仕組みを設計することが重要です。2025年以降、マーケターに求められるのは「施策を動かす力」ではなく、人を動かす体験をデザインする力。キャンペーン企画とは、もはや販促ではなく「ブランドと顧客のストーリーを共に紡ぐ場」なのです。