ライブコマースの仕組みを解説!メリットやおすすめのプラットフォームは?
ECとライブ配信を組み合わせた「ライブコマース」が、近年注目を浴びています。ライブコマースは、中国で認知が広まり利用者が急速に拡大している商品の販売手法です。
この記事では、ライブコマースとは何か、どのような仕組みで商品を売るのかについて解説していきます。おすすめのプラットフォームや他社の成功事例についても触れているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
「ライブコマース」とは?
ライブコマースとは、最近注目されているインターネット上の商品販売方法です。ライブ動画とEC(オンラインショップ)を融合させることで、視聴者の反応を確認しながら、実店舗に近い接客や販売が可能になるのが特徴です。
専用のプラットフォームや企業のECサイト、SNSのアカウントを通じて行われ、観ている側は配信中に気に入ったものがあれば、配信コンテンツを経由し、そのまま商品や紹介されているサービスを購入することができます。
ライブコマースは世界中で行われていますが、特に中国では、爆発的に広がりました。
中国でライブコマースが広がった背景
近年、中国ではライブ配信の普及が急速に進みました。2016年ごろからサービス利用への取り組みが本格的に始まったのが大きな背景にありますが、2020年3月時点での、中国内でのライブコマースの利用者は5億5982万人。ネット利用者の62%にのぼっています。
中国のライブコマースの火付け役は、多種多様な商材を取り扱い、中国内のEコマースのプラットフォームとして根強い人気を誇る、アリババグループの淘宝(タオバオ)のライブ販売「淘汰直播」でした。
またファッションに強い蘑菇街、Eコマースと組み合わせて使う配信ライブ系のプラットフォームでは抖音(TikTok)、快手も、今では中心となって利用されています。
*データ出典元:三菱UFJリサーチ&コンサルティング
ライブコマースの仕組み
ライブコマースには、
- ライブ配信に重点を置いたもの
- ECに重点を置いたもの
の2パターンがあります。それぞれの仕組みを以下で解説していきます。
ライブ配信寄りの仕組み
ライブ配信寄りのライブコマースは、エンタメ要素が強く、視聴者を「観ていて楽しい!」と思わせてくれるのが大きなメリットです。
特にYouTubeやInstagramなど、知名度の高いSNSサービスから配信することが多いので、より多くの視聴者が獲得でき、商品の認知度を高めてくれます。
デメリットとしては、配信自体がエンタメとして消費されて終わってしまう可能性があります。「まずは商品の存在を知ってもらい、ついでに購入してもらえばうれしい」と思える場合は、ライブ配信寄りのライブコマースを利用するといいでしょう。
EC寄りの仕組み
デジタル決済がついている自社のECサイト内に、ライブ配信を埋め込むライブコマースは、すでにその企業のファンや、商品のリピーターにとっては有効な販売方法です。
特にファッションやコスメなど、すでに気になるブランドや欲しい商品が決まっているユーザーが多い場合は、ECサイト内でライブコマースを行ったほうが、商品への理解度がより高まります。
週に2~3回定期的に配信することで、リピート率がさらに上がります。また、「配信でスキンケアのアドバイスをしてくれた店舗スタッフに会い、直接コスメを購入したい」など、ライブコマースをきっかけに実店舗に足を運ぶお客さんが増える場合があります。
デメリットとしては、ECサイト内にライブ配信機能を埋め込むために、Webの改修が必要になります。
ライブコマースの配信方法
配信自体は、スマホ一台、PC一台でも可能ですが、画質や音声のクオリティなどを考えると、外付け機材を充実させたほうが、より臨場感が高まります。
特に商品の色や質感を詳細に伝えたい場合、スマホやPCのカメラだと、暗すぎて商品の良さが伝わりづらいことも多いです。
ライブ配信寄りのコツ、EC寄りのコツ、それぞれのライブコマースの配信の方法をご紹介します。
ライブ配信寄りの仕組みでライブコマースを配信する方法
ライブ配信寄りのライブコマースの場合は、複数のカメラを導入したほうがいいでしょう。
というのもエンタメ性の強いライブ配信の場合、開始から5分を経ってから視聴した場合は「すでにトークが盛り上がり過ぎていて疎外感を覚える(話の内容が分からない)」などの理由で、配信から離脱してしまう視聴者も多いからです。
テレビのバラエティ番組のように、複数のカメラを使って画面の切り替えをする、テロップを入れるなどの工夫をして、視聴者に「今、何をしているか」を分かりやすく伝え、視聴する側を飽きさせない工夫が必要になってきます。
EC寄りの仕組みでライブコマースを配信する方法
EC寄りのライブコマースの場合は、ライティングに気を配る必要があります。
視聴者はリピーターが多く、「商品を見たい」「使い方のアドバイスが欲しい」など、ライブコマースを視聴する目的がしっかりしているので、商品が綺麗に映るような照明や、音声をきれいに拾うマイクなど、販売促進の効果を上げるような専門機材を入れることが大切になってきます。
配信者には社員やインフルエンサーを起用する
リアルタイム配信で商品を売るには、「売り手」の存在も不可欠です。
現在のところライブコマースでは、商品を売りたい会社の社員や、人気インフルエンサーに登場してもらうなどの方法が主流です。
前者の場合は商品について詳しい情報を受け取ることができますし、後者の場合は、インフルエンサー自体にすでにファンがついている場合が多く、「〇〇さんがおすすめしているものならば!」と、その影響力も含めて、販売数を大きく伸ばす可能性を秘めています。
ライブコマースのメリット
ネット上でリアル配信をしながら商品を売るとどんなメリットが得られるのか?具体的に見ていきましょう。
①リアルタイムでコミュニケーションが取れる
何と言っても魅力的なのは、その即時性です。例えばライブコマースツールとしても人気のある配信系アプリSHOWROOMでは、SHOPROOMという、専用機能があります。
ここでは人気インフルエンサー、タレントなどが商品のライブ販売を行うと同時に、コメントや課金アイテムで、売り手側と購入者側がコミュニケーションを取ることが可能です。
ほかにも、チャット機能でコミュニケーションが取れるプラットフォームが多く、一体感や臨場感を味わいながら、買い物を楽しむことができます。
②購買までの意思決定が早くなる
配信は、時間や曜日を限定して行われるのが基本です。日にちや時間を限定した販売方式は、購入者にとって「今、買っておかなくては!」という購買意欲を駆り立てます。
また限られた時間の中での双方向でのコミュニケーションを通して、インスタグラマーや自社の社員などとの親近感が高まり、さらに商品全体への理解も深まりやすくなります。
ただ閲覧するだけのECサイトや、何となく接客されがちな実店舗での販売よりも、買い手側の購買までの決断が、早くなりやすいのがメリットです。
③社員にファンがつく
社内の人材で商品を販売する場合は、繰り返しライブ配信をすることで、視聴者側にとっても「毎回おなじみの〇〇さんだ」という認識を与えることができます。
商品の説明に加えて、出演者側の人柄が伝わると、ファンになってくれる人が増えて、販売の後押しになります。
ライブコマースにおすすめのプラットフォーム
①SHOPROOM
先述した、配信系アプリSHOWROOMのライブコマース専用機能がSHOPROOMです。
SHOWROOMでリアル配信される動画のうち、ショッピングに対応しているルームには、カートがつきます。そこで出演者とコメント機能でコミュニケーションのやり取りが可能。
商品の使用感やサイズ、素材について確認したり、画像をタップすればさらに詳細を確認することもできます。
出演者は、人気インフルエンサー、アイドル、タレントなど、多彩な顔ぶれ。好きな有名人を通じて、買い物をしている楽しさが味わえます。
②Live Shop!
日本でいち早くライブコマースを始めた、株式会社Cadeeが配信しているサービスです。
商品は、バッグ、ジュエリー、アクセサリー、ウェア、シューズなど、服飾関連が中心。自社のスタジオがあるため、配信動画のクオリティの高さには定評があります。
さらに法人向けアカウントでは、自社のECサイトに動画の埋め込みが可能と、企業が販売用として使いやすいような工夫が凝らされています。
③SNS(Instagram、YouTubeなど)
プラットフォームそのものの一般的な知名度が高いので、自社ECサイトとの組み合わせをしやすいのが特徴です。
またYouTubeの場合は、Live Shop!のように自社サイトに動画が埋め込める上に履歴が残せるので、ライブ配信が終わった後も、商品の宣伝・販売を続けることができます。
日本におけるライブコマースの成功事例(ベストプラクティス)
コロナ禍が続き、実店舗での購入機会が減ったアパレル業界が、ライブコマースを積極的に取り入れています。
例えば、株式会社ベイクルーズでは、’20年5月から「LIVE STYLING」というライブコマースを開始しました。これは店舗スタッフが商品を紹介し、リアルタイムで質問に回答し、その場で購入することができます。
アパレル以外の分野だと、酒造メーカーの株式会社 耕は「宅飲み」などの需要に対応して、日本酒酒造の蔵元とオンライン飲みができるイベントを開催。
飲み会の最中にお酒を購入できるイベントが好評を博しました。こうしたライブコマースの試みは、商品を売る側、そして買う側にとっても最も効率が良い状態です。
現時点でのライブコマースのベストプラクティスをまとめると、
・既存のファンや顧客を抱えている企業がライブコマースをすると、商品の具体的な売り上げにつながりやすい。
・メイクやファッションのアドバイス、紹介するグッズへの質疑応答など、自社のスタッフが相談会や商品の紹介役となり、定期的な配信をすると、顧客との信頼感や親近感が生まれ、売り上げに直結しやすい。
といった傾向があります。インフルエンサーを招いた販売法も効果はありますが、予算の都合上、ギャランティが折り合わない場合もあるかもしれません。
そこで、自社のスタッフがライブコマースの経験を積み、配信に慣れておくほうが、コストパフォーマンス的にもいいでしょう。
そのうえで、スペシャルゲストとしてインフルエンサーやタレントなどを招くと、通常の配信に特別感が増したり、企業や商品のリピーターと、インフルエンサーのファン、それぞれの層が視聴してくれて注目度が高まり、販売の相乗効果が期待できます。
ライブコマースで想定されるトラブル
最も簡単なライブコマースはスマホやPC一台でできますが、商品を魅力的に紹介し、売り上げ・販売のアップにつなげようと思うと、専用の機材をそろえたほうが、効果は上がります。
と同時に、配信に際してはこんなトラブルも予想されます。
①人が集まらない
ライブ配信なので、お客さんが少ないとそれだけ売り上げにつながりません。「〇日の〇時から」、「有名人の〇〇さんが登場します」当、SNSや公式ECサイトなどで、配信ライブのお知らせをしっかり行うようにしましょう。
②紹介者の商品知識が薄い
ライブ配信中は、商品についての質問が数多く寄せられますので、うまく答えられないと、視聴者からの不信感を買い、商品や企業自体のイメージを損なう遠因にもなりかねません。
出演者は、売りたい商品について詳しいことが大前提になります。自社の社員や、商品への理解度が高いインフルエンサーに登場してもらいましょう。
③配信環境のクオリティが低い
映像や音声がブレたり途切れたりするトラブルが多発する、商品が綺麗に映らない、など、機材を十分に使いこなせないと、視聴者側のテンションが落ち、同時に購買意欲も低下してしまいます。
できればライブコマース専門の動画スタッフやサービス会社に協力を依頼し、クオリティの高い配信環境を確保することが、販売成功や継続した顧客獲得の大きなキモになります。
ライブコマースにかかる費用
プラットフォームの利用料、会場費用、配信機材レンタル、配信代行スタッフ費用など、目的に合わせて予算の増減は可能ですが、平均としては一回の配信で、15万円~45万円ぐらいが相場になります。
配信代行だけで良いのか、また、人気インスタグラマーなどの手配を専門の会社にお願いする場合は、また料金が変わってきます。
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