プロが教えるYouTubeを使ってセミナーを開催する2つの方法
新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけに、さまざまなプラットフォームを活用し、オンラインでセミナーを開く方が増えています。なかでもよく利用されているのがYouTubeで、自身のチャンネル上でYouTube Liveを利用しセミナーを開くことが可能です。具体的な方法は「配信機材を使って開催する」「Zoomと連携して開催する」という2種類があり、それぞれ特徴は異なります。
今回はこの2つの方法について、詳しく解説していきます。初めてセミナーを開催する方や、何度かやってみたものの思った通りに出来なかった方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
YouTubeで配信するセミナーに向いている内容とは?
そもそもオンラインセミナーには、YouTubeでの配信が向いている内容と、そうでない内容があります。この違いを理解していないと、せっかく良いコンテンツを作っても、セミナー開催を通して達成したい目標や目的を果たせないので注意しましょう。
YouTubeセミナーの開催に適した内容、適さない内容
具体的にどのようなセミナーはYouTubeで配信し、どのようなセミナーは他のプラットフォームを使うべきなのか、ご紹介します。
YouTubeセミナーに適した内容
YouTube Liveを利用した配信に適しているのは、マス向けのオープンなセミナーです。とにかく多くの方に視聴してほしい、新商品や新サービスをできる限りたくさんの人に届けたいといったケースでは、YouTubeセミナーがおすすめです。
またYouTubeで配信した動画はアーカイブに残すことができるため、連続して視聴してもらいたいオンラインセミナーや配信後のアーカイブ動画を視聴してもらいたいセミナーにも適しています。
一つのテーマについて数回にわたり連続講座などを開くケースでは、視聴者がセミナー動画を後から見返すことで、より深い理解を促進することができます。
その他、WebサイトやPR記事に動画や視聴用URLを埋め込み視聴者の数を増やす。YouTube広告に使用する。など、配信後のアーカイブ動画の活用に幅を利かせることができる点でYouTubeでの開催が適しています。
多くの視聴者を集めて行うオンラインシンポジウムや、教育現場での卒業式・入学式にもYouTube liveを利用した配信がおすすめです。PR発表会や商品紹介・サービス紹介などにも適しています。
YouTubeセミナーに適さない内容
YouTube配信を避けた方がよいのは、クローズドなセミナーです。ユーザー向けや会員向けの内容を配信しても、「大衆に届きやすい」というYouTube配信の利点を活かせません。また、セミキュリティ面でYouTubeでセミナーが視聴できない企業や団体などもございます。
そのため、別のプラットフォームを使うことをおすすめします。
また、リード獲得などマーケティングを目的としたセミナーも不向きです。YouTubeでの配信は誰がどこまで視聴したか把握できず、観てほしい相手に本当に情報が届いているかわかりません。
他にも、特定のテーマに関して学ぶためのセミナーや研修会・学会は、YouTubeでの配信を避けZoomなどのクローズドな環境に向いている別のプラットフォームを使用することをおすすめします。
YouTubeセミナーとZoomセミナーの違いは?
YouTubeセミナーとよく比較されるのが、Zoomセミナーです。この二つにはそれぞれ違いがあります。
YouTubeの特徴
YouTubeセミナーは無料で活用できますが、YouTube単体でセミナーを開催することができません。YouTubeセミナーを開催するには、「ビデオカメラなどの配信用機材を利用して開催する」「Zoomを利用して開催する」2つの方法があります。
YouTube Liveの特徴として公開範囲を「公開・限定公開・非公開」に設定でき、オープンなセミナーもクローズドなセミナーも対応可能です。また、「説明」の部分にセミナーの概要を書けるため、内容のサマリーを文章で記載しておきたい場合にも向いています。
アーカイブに残しておけるため、一つの動画を複数の顧客に見せたい場合や、複数回セットで行うセミナーを開催する場合にも便利です。アーカイブは、サムネイルを設定できるというメリットもあります。
DVRを有効にすることで、途中から参加した方が追いかけ再生をしたり、一時停止や巻き戻しをすることもできます。予約配信ができるため、事前に告知しておく場合にも適しています。
企業セミナーなどでは活用シーンが少ないかもしれませんが、スーパーチャット機能があり視聴者が課金できる点も特徴です。また、視聴者数の制限がなく、大規模のセミナー開催も問題ありません。
デメリットとして、YouTubeからパートナーとして承認してもらう必要があります。こちらは事前に申請が必要で、1ヶ月程度かかることも多いので前もって準備しておきましょう。
また、配信は20秒~1分のタイムラグが発生します。一般的な内容であれば誤差の範囲内ではありますが、セミナーの内容によっては問題が生じる可能性もあるので、念のため注意しましょう。
Zoomの特徴
Zoomを使ったセミナーでは、2つの開催方法があります。
一つ目のZoomミーティングはオンライン会議システムを利用した開催方法で、参加者全員がカメラ・マイクを使い双方向のコミュニケーションをとることが可能です。
二つ目のZoomウェビナーはZoomにオプションで付いている有料機能を利用した開催方法です。既存顧客や登録済ユーザーなどの会員向けに開催でき、URLを知らない人は入室できず完全にクローズドな状態を作ることが可能です。事前登録機能もあり、登録した方がどこまで観たのか、視聴履歴を確認することができます。
また、誰が見ているのか視聴者をチェックしたり、チャットの検索機能で特定の方を探すこともできます。また、参加者が「手を挙げる」という機能もあり、質疑応答などをスムーズに進められる点も特徴の一つです。
このようにメリットの多いZoomですが、デメリットもあり、ウェビナー機能は無料で利用することができません。Zoomでセミナーを開くにはウェビナーライセンスというオプションが必要で、これを使うには、月額料金20,100円のプロ、月額料金26,900円のビジネス、月額料金32,300円のエンタープライズのいずれかに加入している必要があります。ウェビナーライセンスのオプションは参加可能人数によって価格が異なり、500人までなら10,700円、1,000人以内なら45,700円と、段階的に上がっていきます。
YouTubeでセミナーを開催する2つの方法
YouTubeでセミナーを開くには、「配信機材を利用する」「Zoomと連携させる」という2つの方法があります。
配信機材を利用する方法では、PCとは別に撮影用のカメラなどの機材を準備します。PCに備わっているカメラを使うよりも映像が美しくなり、非常にクオリティの高い配信が可能です。
その一方で機材をそろえるためにコストがかかり、操作も複雑化します。配信や機材の扱いに慣れていない方にとって、ハードルが非常に高いです。
そうしたデメリットは、Zoomと連携させることでクリアできます。Zoomを利用すればPC一つで配信できるようになるため、初めてセミナーを開くケースや社内に専門知識を持つスタッフがいないケースでも問題ありません。
それぞれの特徴を理解した上で開催方法を検討しましょう。
Zoomと連携してYouTubeセミナーを開催する方法
Zoomと連携してYouTubeセミナーを配信するには、下準備としてまずZoomのアカウントを無料の契約から、プロ、ビジネス、エンタープライズのいずれかに変更します。次に、YouTubeのチャンネルを設立します。YouTubeではLive機能を有効化するのに24時間かかるため、前もって申請しておく必要があります。
・Zoomアカウントのプラン変更
・YouTube Liveの有効化申請(有効化に24時間かかります。)
上記設定が完了したら、連携が行えますので必ず確認しましょう。
YouTube LiveとZoomウェビナーの事前設定
1.YouTubeセミナーをZoomと連携して開催するには、Zoomにサインインし、「アカウント管理」から「設定」をクリックします。
2.Zoomの設定からYouTubeとの連携をするための設定が行えます。
Zoom設定の「ミーティングにて(詳細)」の「ウェビナーのライブストリーミングを許可」するを「オン」にし「YouTube」と「カスタムライブストリーム配信サービス」にチェックを入れます。
3.設定後、ウェビナーの設定に移ります。
左にあるメニューの「ウェビナー」をクリックしてウェビナーの設定を開始します。Zoomウェビナーの新規作成は「ウェビナーをスケジュールする」から設定できます。
4.Zoomウェビナーの詳細を上から記入し、「スケジュール」をクリックしましょう。
記入することをおすすめする項目
・トピック(ウェビナータイトル)
・開催日時
・所要時間
・登録(事前登録を行いたい場合)
5.ミーティングをスケジュールすることができたら、管理画面が表示されます。
管理画面でウェビナーの詳細設定が行えます。
「招待状」「メール設定」「ブランディング」「投票」「アンケート」「質問応答」「詳細」のメニューがあるので「詳細」をクリックします。
6.詳細画面の「カスタムストリーミングサービスを設定」をクリックしましょう。
ZoomとYouTube LIveの連携をするためには三つの情報が必要になります。
連携に必要な情報
・「ストリームURL」
・「ストリームキー」
・「ライブストリーム配信ページURL」
上記三つの情報はYouTube側の設定が必要ですのでYouTube Liveの設定を開きましょう。
7.YouTube Liveの設定を行います。YouTube Liveが有効化されたら「ライブ配信をスケジュール設定」からYouTubeセミナーの設定ができます。
8.配信の作成画面が表示されたら、YouTubeセミナーの公開設定を行いスケジュールします。「タイトル」「YouTubeセミナーの日程」「プライバシー」を記入し、「完了」をクリックします。
9.YouTube Liveの設定が完了するとZoomとの連携に必要な情報が表示されます。
10.YouTube Liveの「ストリームキー」と「ストリームURL」をコピーしてZoomに貼り付けましょう。
Zoom側の「ライブストリーム配信ページのURL」は、YouTubeの視聴ページのURLを貼る必要があります。
視聴用ページのURLは右上の「共有」マークから取得することができます。三つ貼り付けることができたら「保存」をクリックしましょう。
以上でZoomウェビナーと連携してYouTube Liveを開催する方法の事前準備は終了です。
その他YouTubeの設定で「YouTube Liveのサムネイル」などは、いつでも行えるので作成次第変更する形で問題ありません。
セミナー当日のYouTubeセミナーの開始手順
1.Zoomウェビナーと連携してYouTubeセミナーを行う場合は「Zoomウェビナー」を立ち上げる所から始まります。
Zoomのウェビナーから予約済みのウェビナー設定を開き、「このウェビナーを開始」を押しましょう。
2.ウェビナーを開始すると、ウェビナー画面の右下に「詳細」があるのでクリックします。
項目の中から「ライブ中カスタムライブストリーム配信サービス」があるのでクリックします。
3.下記のような画面が表示されたら連携が正常にできています。
「このミーティングはライブストリーム中です」と表示されるので「了解」をクリックします。
4.連携が完了したらYouTube Liveの視聴画面に自動で切り替わります。
正常にYouTubeセミナーが行えていることを確認したらZoomウェビナーに戻りセミナーを進行しましょう。
以上が、当日のYouTubeセミナーの開始手順でした。
機材を用いてYouTubeセミナーを開催する方法
YouTubeセミナーを機材を使って開催する場合、映像を撮影する機材と、音を集音して流す機材が必要です。配信用PCに映像と音を集約し、ZoomやYouTubeに流します。
複数のカメラで撮影している映像をスイッチャーに送り、そこでどの映像を流すか決めます。配信中に資料や動画などを流す場合、専用のPCを別に用意して、スイッチャーにつなげておいてください。また、返しモニターと呼ばれるものをつなげることで、今、視聴者にどんな映像が流れているかを確認することが可能です。
音声については、マイクで拾った音をミキサーで調節します。有線マイクやワイヤレスマイク、ピンマイクなどの種類があり、そこで撮った音はスイッチャーを経由して配信用PCに流れます。
オンラインとリアルの両方で参加者を集める場合、現場にいる観客にも声が聞こえるよう、スピーカーも必要です。リアルの観客がいない場合でも、演者が自分たちの声を効きやすくするためにもスピーカーを設置するとよいでしょう。
YouTubeセミナーの動画を編集する際の注意ポイント
YouTubeセミナーは、アーカイブを後から編集をすることができます。リアルタイムのトークでは、話が前後してしまったり資料を投影するのに時間がかかってしまったりということもありますが、そうした部分を整理しておくことで、非常に見やすいセミナー動画になります。
テロップや効果音なども入れられるので、話のなかで強調したい部分を目立たせられます。プロのような凝った編集ができなくとも、こうした簡単な工夫をしておくだけで動画のクオリティは向上します。
編集のポイントとして、配信した動画素材を使うのではなく、動画編集用の録画を別で残しておくことがおすすめです。配信した動画は画質が荒くなりやすく、クオリティが下がりがち。また、ネットワーク状況によっては画面や音が途切れてしまい、見にくくなってしまいます。録画用に別撮りしておけば、こうしたリスクを回避できます。
Zoomと連携してYouTubeセミナーを開催した場合
Zoomには「レコーディング機能」があります。この機能を使えば他のソフトを使うことなく、Zoom内で録画作業が完結するので非常に便利です。また、無料・有料プラン問わず利用できる点もポイント。ただし、無料プランの場合はPCのみ、有料プランの場合はスマートフォンやタブレットからも録画できるという違いがあります。
基本的に、レコーディング機能が使えるのはホスト・パネリストのみです。
ホスト(登壇者)がレコーディングを行わない場合、事前にパネリストの設定を行いましょう。
1.ウェビナーの設定画面で「招待状」からパネリストを追加することができます。
2.招待したい方の「名前」と「メールアドレス」を入力し、「保存」をクリックするとウェビナー当日にパネリストとして登壇することができます。
「名前」に関しては当日表示されるので注意しましょう。
レコーディング機能を使うには、画面下のメニューバーから「レコーディング」をクリックします。無料プランではそこから録画が始まり、有料プランの場合は動画データの保存先をコンピュータかクラウドか選びます。録画ができているかどうかは、画面の左上に「レコーディング」と表示があるかどうかで確認してください。
Zoomでの録画は画質が荒くなりやすいため、「グループHD」を有効にすることがおすすめです。下記の条件を満たしていれば、720pまたは1080pでYouTube配信ができます。
標準HD(720p)
・プロ、ビジネス、エンタープライズアカウント
・デスクトップクライアントで全画面表示
標準HD(1080p)
・ビジネス、教育、エンタープライズアカウント
・Zoomサポートで有効に設定する必要があります。
・i7 Quad Core(物理的コア)CPU以上
・Windowsバージョン4.3.46185.0120向けZoomデスクトップクライアント以上
・Macバージョン4.3.53325.0120向けZoomデスクトップクライアント以上
もともと有料プランに入っている方は、せっかくなので高品質で残しておくことをおすすめします。
ただし注意点として、配信にラグがあった場合、そのラグも一緒に記録されてしまいます。映像や音声が乱れたり止まったりすると、その様子も残ってしまう点は大きなデメリットです。この問題をクリアするには、機材を用いるとよいでしょう。
機材を用いてYouTubeセミナーを開催した場合
カメラなど配信機材を用いる場合、録画機能のあるスイッチャーを使うことで、配信前の段階の映像と音声をレコーディングすることができます。音も画もクリアな状態で残せる上、カメラが複数台あればその分多くの角度からの映像を保存でき、後から見やすいように編集することも可能です。
また、YouTubeセミナーを行った場合、動画は自動的に保存されます。配信終了後に「STUDIOで編集」をクリックすると、動画の切り貼りなど簡単な編集が可能です。一方で、Zoomでの配信同様、画質が荒いというデメリットがあります。
これを解消するためには、まず高画質に対応している機材が必要です。例えば4K配信をするには、それに対応したカメラを用意しましょう。録画スイッチャーやキャプチャーボード、モニターなどもクオリティの高いものを使うことで、荒さを解消できます。
また、ビットレートサイズをあげなくてはなりません。こうした設定はOBSという無料の配信用ソフトを使うと便利です。他にも様々なツールがあり、例えばVimeoというツールでは高画質の動画を作成・共有でき、安全性も確保されています。
YouTubeを使ってセミナーを開催する方法まとめ
今回は、YouTubeセミナーについて詳しく解説していきました。YouTubeセミナーを開く際には、まず「そもそも、今回のセミナーの内容はYouTubeセミナーに向いているのか」から検討することが大切です。そのうえでYouTubeセミナーを開催することが決まったら、機材を用意するのか、Zoomと連携するのかを決めていきます。
動画を編集して残す場合は、より高品質なものになるよう準備を整えておきましょう。とはいえ、こうした準備は知識や経験がないと簡単ではありません。セミナーの内容作りに集中するためにも、配信に関する業務はプロに一任するのも一手です。
弊社ビデオマッチングでは、オンラインセミナーの配信代行サービスを行っています。官公庁から大手企業まで、数々の配信をサポートした実績があるため、安心してお任せいただけます。
気になる方は、まずはサービス概要資料をダウンロードしてご覧ください。