ウェビナーに必要なおすすめ機材をご紹介!事例を元にプロが最適な機材を解説
ウェビナーを配信するには、様々な機材が必要です。ものによっては数十万円を超えるものもあり、「どれを選べばいいかわからない」と悩んでしまう方も多いでしょう。そこで今回は、数々のウェビナーを成功に導いてきたプロフェッショナルが、配信に必要な機材や環境について解説します。
目次
ウェビナー配信に最低限必要な機材
ウェビナーを配信するにあたって、まずは絶対に必要な機材についてご紹介します。ここでご紹介するのは、クオリティを問わず「とりあえずは配信ができる」という最低ラインのものです。
カメラ・マイク付きのPC
カメラとマイクがついているPCがあれば、これ1台で配信は可能です。カメラは多くの場合、デスクトップかラップトップかに限らず、画面の上部についていることが多いので、まずはお手持ちのPCを確認してみてください。
カメラが内蔵されたPCがない場合は、スマホをWebカメラとして利用可能です。手持ちでは画面がブレてしまうため、スマホスタンドを用意してセットしましょう。スマホを利用する場合はアプリを活用します。よく使われているのはiVCamやIriun Webcamあたりです。それぞれ対応する画質や美肌補正機能など違いがあるので、お好みのものを選んでください。
インターネット環境
配信はインターネット環境下で行う必要があります。ここで重要なのが、通信速度です。配信においては回線の上り速度がポイントで実測値として3Mbqsは必要です。より高画質な映像を配信するのであれば、6Mbqsが目安になります。通信速度が遅いと、映像と音声のズレが生じたり、配信が落ちてしまったりする可能性があります。
これらはウェビナーの参加者のストレスにつながりますし、せっかく準備したコンテンツを効果的に届けることができません。また、ハイクオリティな機材を用意してもインターネット環境が悪ければパフォーマンスを発揮できないので、これからウェビナーを開催する方はまずこの点に注意しましょう。
ウェビナーの配信クオリティを上げるための機材
上記は最低限の機材ですが、法人として公式のウェビナーを配信する場合やプロのゲーム配信者としてゲーム実況を配信する場合、より本格的な機材が必要です。そこで、音響や映像に関するものから、より綺麗な配信を届けるために必要な照明やカメラ、ハイクオリティな配信に必須のスイッチャーなどについてご紹介します。
音響(マイク、ミキサー、オーディオインターフェイス)
聞き取りやすい音声を届けるためには、マイクやミキサー、オーディオインターフェイスが必要です。音質の良いマイクを使うことで、冷暖房から出る雑音や配信する部屋の外のノイズなどを排除し、声や音をクリアに配信できます。
マイク
マイクには「ダイナミックマイク」と「コンデンサーマイク」の2種類があり、ダイナミックマイクは本体に電源不要ですが、マイク入力端子のある機材に接続しなくてはなりません。
また、集音範囲が狭く感度が低い点もデメリットです。ウェビナーの中でも、セミナーや講演会などでよく使われます。コンデンサーマイクは広く音を拾い、感度も高いです。演奏会の配信や発表会など、離れたところの音も拾わなくてはいけないシーンで重宝します。
また、ウェビナーの中で登壇者が動いたり身振り手振りを用いて紹介したりする場合は、ピンマイクがおすすめです。マイクを手で持つ必要がなくなり、動きの制限がなくなります。
ハンドマイクは、講演会などにうってつけです。オンライン配信ながら、実際の講演会に参加しているような臨場感を演出できます。演奏会やコンサートでは、すべての音をバランスよく拾えるガンマイクを選んでください。
ミキサー
ミキサーとは複数の音を拾い、それを一つにまとめて出力するための音響機器です。ウェビナーでは複数の登壇者が出演することもありますが、その場合1本のマイクを使いまわすのではなくそれぞれが自分のマイクを使うやり方が一般的です。
そこでハウリングを防ぐのに、ミキサーは役立ちます。また、BGMと話し声を重ねるときにも必要です。それぞれの音量を調整し、視聴者が聞き取りやすい音声にできます。
オーディオインターフェイスもよりハイクオリティなウェビナーに必要です。マイクで拾った声やシンセサイザーの音をPCに取り込み、再生します。PCが発するノイズの混入を防ぎ、音質を劣化させずに配信することができます。
オーディオインターフェイス
オーディオインターフェイスはミキサーと混同されやすいですが、ミキサーは音声のミックスと加工を行うのに対し、オーディオインターフェイスはPCにオーディオ信号を入力するために使います。
照明(ライト)
照明を使うことで、よりきれいな映像を配信できます。ウェビナー会場が十分に明るい場合でも、登壇者にスポットライトをあてることで、良い印象を作ることができます。特に部屋によってはスポットライトがないと、眼のあたりがくぼんで影になることや、顔色が悪く見えることもあるので用意しておきましょう。
照明機材は、主に3つの種類があります。1つ目が、LEDです。3種類の中でも最も高額ですが、寿命が長く電気代が安いので、長期的に見るとコストパフォーマンスは高いと言えるでしょう。色味の調節がしやすいため、変に青っぽくなることもありません。
2つ目が、白熱灯です。価格が安いので導入ハードルは低いですが、LEDと違い発熱します。また、色味がオレンジ色になるためあえて温かい印象を作りたい時はよいのですが、そうでない場合には向いていません。
3つ目が、蛍光灯です。価格と寿命のバランスが取れており、電球を変えることで色味の調整もできます。しかし、ウェビナー配信時に蛍光灯を使うと、画面が点滅するフリッカー現象が発生するためおすすめできません。
どの照明をどのように使うかは、会場の広さや登壇者の数によって決まります。広い会場であれば照明の数を増やし、光を集める必要があります。登壇者が多い場合は、その分のスポットライトを用意することで、全員の映りが一律に向上します。
映像(カメラ、キャプチャーボード、スイッチャー、グリーンバック)
PCに内蔵されたカメラでもウェビナー配信はできますが、可能であれば業務用カメラを用意しましょう。PCのカメラは画質が良くないだけでなく画角の調整ができません。また、ブレ補正が出来なかったり、人物と背景のどちらにもピントがあってしまったりと難点も多いので業務用カメラの利用をおすすめします。
スイッチャーは、カメラで撮影している映像やPCから出力する映像を簡単に切り替えるための機械です。例えば登壇者の顔を写した後に、プレゼンテーションの資料や動画映像を流したい時に役立ちます。また、カメラから別のカメラへの切り替えもスムーズにできるので、登壇者のアップや引きの映像などを流し視聴者を飽きさせない配信が実現します。
また、カメラが複数ある配信では、今、どのカメラでどんな映像を撮っているのかすべて把握しなくてはなりません。スイッチャーがあると1つのモニターにそれぞれの映像を分割して長し、リアルタイムに確認できます。
キャプチャーボードは、リアルタイムで配信するウェビナーで必要です。カメラと配信用PCをつなぐ役割を果たし、撮影している映像信号を配信用の映像に変換します。内蔵型と外付け型の2種類がありますが、一般的には外付け型が使われています。
また、スイッチャーに含まれているケースもあるので、スイッチャーを持っている方はキャプチャーボード機能があるか確認してみてください。
グリーンバックとは緑色のスクリーンのことで、クロマキー合成で背景を編集できます。天気予報でキャスターの後ろに地図が映っているところを想像すると、イメージしやすいでしょう。
PC
ウェビナーの質はPCのスペックによってクオリティが変わります。リアルタイム配信であれば、CPUはCore i5やRyzen 3、Ryzen 5程度で問題ありません。メインメモリは8GB以上のものを準備しましょう。
グラフィックもCPU内蔵の機能で問題ありません。Core i3のPCで配信することも不可能ではありませんが、バックアップをとったりテロップをつけたりといった作業をする場合、不十分になる可能性があります。
録画した動画を編集する場合は、動画編集のためにCore i5やCore i7、Ryzen 5やRyzen 7などが必要です。また、メモリ容量は8GBでも可能ですが、16GB以上だとスムーズに編集作業ができるでしょう。グラフィックスを搭載することで、書き出しもスピーディに実行できます。
また、配信用以外に複数のPCを用意することで、登壇者の説明を補足する資料を出し、事前に準備した動画を流し、BGMとして音楽を流すなど、用途に応じて使い分けが可能です。
1台のPCでまかなうことも不可能ではありませんが、切り替える時にノイズや乱れが生じることがあります。また、映像を映しながら登壇者の顔もワイプで映すといったことはできません。
一体型配信機材「ラック」
ビデオマッチングでは、配信に必要な機材を一つにまとめた「ラック」と呼んでいる機材を活用しています。これは、スイッチャー、モニター、ウェブプレゼンター、ハイパーデックが一体化したものです。
配信にどの画をのせるかを選ぶことができ、複数の画をボタン一つで切り替える事ができます。
モニター
マルチビューとプログラムアウトの2種類があります。マルチビューには各カメラがとらえている映像が、6分割で表示されます。次にどの映像を写すか見やすくなっています。
プログラムアウトは、配信にのっている画が表示されます。モニターでカメラ番号を確認できるため、スイッチングをする際「あの人を写しているカメラは、何番だったか」と考える必要がなくなります。
ウェブプレゼンター
YouTubeライブなどで配信をスタートするための機能です。ライブ配信をするにはストリームキーというものが必要になりますが、そのキーを配信用PCとつなげます。
ハイパーデック
配信中に動画を流すための機材です。配信でオープニング映像を流したり、途中で資料として映像を流したりしたい場合、必要になります。また、レコーディング機材としての機能も持っています。ハイパーデックの中にSDカードがセットでき、そこに配信映像を録画することが可能です。
このように多機能なラックには、3つの魅力があります。1つ目は、SDIを接続できることです。カメラとつなげて音や映像を送るコードにはHDMIとSDIの2種類がありますが、HDMIはコードをロックできないため、撮影中にスタッフが足を引っかけるなどして抜ける可能性があります。SDIは接続した後にロックをかけられるため、安全です。
しかし基本的にスイッチャーにはHDMIしかつなげられませんが、ラックを利用することでSDIをつなげることが可能になります。これによって事故のリスクを減らし、配線が抜けてしまうといったリスクを防ぐことが可能になります。
2つ目は、キャノンを利用できることです。音声を配信するには、ミキサーをスイッチャーにつなげなくてはなりません。一般的なスイッチャーはミニフォンしかささりませんが、ミニフォンはコードをロックできないので抜けやすく、ノイズがのりやすいというデメリットがあります。しかしラックを利用すればキャノンをつなげられるようになり、安全にクリアな音を配信することが可能です。
3つ目は、PoEのハブがあることです。これにより、カメラなどの機材はコンセントに指す必要がなく、ラックから電気を供給することができます。カメラのリモコンもラックとつなげることで、電源の位置を気にせずコントロールできるようになります。
このように非常に便利なラックですが、所有している業者は多くありません。オンライン配信専門業者のビデオマッチングでは、必要に応じてカスタマイズしたラックを活用しており、よりスムーズな配信を実現しています。配信にお困りの方や機材に関するコンサルティングをご希望の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
ウェビナーに必要な機材の選び方
ウェビナーにどのような機材が必要かはわかっても、具体的にどんなものを選べばいいか悩まれている方のために、機材の選び方について解説します。
まず大切なのは、予算をどのくらいかけるかを決めることです。カメラやPCの価格は青天井に近く、お金をかけようと思えばかなり金額をかけることができます。しかし現実的にウェビナーに使える予算には限りがあるので、まずはそれを決定してその金額を軸にして選ぶとよいでしょう。
また、どのようなウェビナーを配信するか内容を整理します。ゲーム配信をする場合とオンライン講演会を開く場合では必要な機材は変わりますし、講演会にしても複数の登壇者が集まって討論するのか、一人で映像資料などを使いながら商品説明するかなどにより、それぞれに見合った機材を選ばなくてはなりません。
今回は、下記のようなシーンを想定して機材の選び方を解説します。
ウェビナーの想定
予算は60万円。司会者が1人、登壇者が3人のケースを事例に機材の選び方について解説する。オンラインで登壇する人間がおらず、オンライン視聴者は50人程度。
司会者も登壇者と同じ壇上におり、全体を写す引きの映像と、話し手のアップに対応が必要。テレビのような絵作りで、きれいな映像が好ましく、資料や映像と一緒に、ワイプで話し手を同じ画面に映す。
カメラ
引きの映像と話し手のアップに対応するため、最低でも2台は必要です。登壇者が3人いるため、本来は3~4台ある方がよいですが、予算を考えると最大でも3台が妥当でしょう。引きのカメラは固定で構いませんが、アップを映すカメラにはカメラマンを配置しましょう。
おすすめのカメラは、SONYのVLOGCAM ZV-1(12万円)です。登壇者はくっきり映し背景を適度にぼかせるため、初心者でもボタン一つでプロ級の映像を撮ることができます。顔を検知して明るさをキープする機能もあり、4Kにも対応。撮影時の手振れも防ぎます。
スイッチャー
カメラ映像だけでなく、資料映像も流すためにスイッチャーを利用します。また、カメラを複数台用意するので、どの映像を流すかもスイッチャーで設定します。
おすすめのスイッチャーは、ATEM mini pro iso(9万円)です。価格が手ごろながら、フォーマット変換機能を搭載した4つのHDMI入力、USBウェブカム出力、EQとダイナミクスに対応したオーディオミキサーなどを搭載しています。また、USBディスクにH.264フォーマットで収録できる機能もあります。
マイク・ミキサー
テレビのような絵作りをするには、ピンマイクがおすすめ。テレビではバラエティやドキュメンタリーなど番組の種類を問わず、ピンマイクをつけているケースが多いです。ただし、差別化として、司会者だけはハンドマイクにする手もあります。ピンマイクを3つ、ハンドマイクを1つ準備するとよいでしょう。
おすすめのピンマイクは、Panasonic 00MHz帯タイピン形ワイヤレスマイクロホンWX-4300B(3万円)です。送信部が120gと軽く、登壇者の負担になりません。また、ネックホルダーが標準装備になっています。
次におすすめのハンドマイクは、ダイナミックマイクロホン WM-530(1万円)です。簡易スタンドがついており設置が簡単なうえ、価格も手ごろです。
また、複数のマイクを使うウェビナーになるので、ハウリングを防ぐためにミキサーを使いましょう。また、資料に音楽が入っている場合でも、ミキサーがあれば声と音楽を同時に聞きやすい音量に調整して配信できます。
おすすめのミキサーは、YAMAHA AG06MK2(2万円)です。ライブ配信に適した製品として開発されており、ループバック機能やワンタッチでエフェクト・サウンドを実現するDSPなど、使い勝手がよい点が特徴です。
照明
登壇者の顔がよく見えるよう、照明を設置します。今回はワイプでアップを抜くシーンもあるため、照明がないと暗くて表情が見えにくくなる可能性があります。登壇者の配置にもよりますが、司会者用に1台、登壇者用に1台の計2台はあるとよいでしょう。
おすすめの照明は、Aputure LEDビデオライト Amaran100X(3万円)です。コンパクトながら強力なライトで、自然な明るさを演出できます。色温調整ができ、明るさも0~100%で調整できます。
PC
リアルタイムでの配信を行うため、CPUはCore i5やRyzen 3、Ryzen 5といった基準で選定します。
おすすめは、GALLERIAのRL5C-R35(12万円)です。Core i5でメモリは16GB。最薄部は20mmで重量はわずか2㎏と使い勝手がよいのが特徴です。グラフィックスと処理能力に優れ、コストパフォーマンスが高いPCだと言えます。
レンタル機材を活用する
上記のような機材をそろえるのに、数十万円単位の費用がかかります。また、ウェビナー配信に慣れて「もっと配信の品質を上げたい」となると、さらに高額なものが必要です。すべての機材をハイクラスでそろえると相当高額になります。
これから定期的にウェビナー配信を行うのであればよいですが、単発や数回しか配信しないのであれば、レンタルという手段もあります。
ビデオマッチングでは、配信用撮影機材のレンタルを行っています。また、機材選定のアドバイスから、配信代行、スタッフの派遣や動画編集なども対応可能です。詳しくはサービス概要資料をご覧ください。
ウェビナーは機材以外の配信環境も重要
ウェビナーを行う際、つい機材にばかり気を取られてしまいますが、配信環境を整えることも同じくらい重要です。機材選定と同時に、下記の点についても確認してください。
ネット回線はなるべく有線を使用
インターネット接続には無線と有線の2種類があり、なるべく有線接続をしたほうが良いでしょう。
無線の場合、安定性が低く配信の途中で映像が止まってしまったり、音が途切れてしまったりすることがあります。そのため、基本的には有線ルーターとパソコンをLANケーブルで接続する有線の方がおすすめです。
しかし状況によっては、無線しか利用できないこともあります。そんな時は安定性のある業務用無線を利用しましょう。Peplinkでは、ルーターなどの機材が届いたら会場で電源を入れて有線LANケーブルに繋げるだけで、インターネットに接続します。特に設定をする必要もないため、非常に簡単です。
また、LiveUもおすすめです。5Gによる高速・大容量通信が実現し、遅延のない配信が可能になります。4Kの配信にも対応しているので、高品質な映像を届けたいシーンでも役立つでしょう。
会場選定が大事
どこから配信するかという会場選びで、ウェビナーが成功するかどうかが大きく変わります。まず、先に説明した通り、インターネット回線が高速でかつ安定していることが重要です。予約をする前に、有線があるか会場に問い合わせて確認しましょう。
また、静かな環境を確保できるかどうかもポイントになります。他の部屋の音が入ってしまったり、車の通行音やサイレンなどが入ると、音声が聞き取りづらいものになってしまいます。
部屋の中のレイアウトもよく見て、背景がきれいかもチェックしましょう。映りこみがあると映像として見づらいですし、配信してはいけないものが映ってしまうとトラブルにつながります。
オンラインとオフラインのハイブリッドセミナーを行うのであれば、ソーシャルディスタンスが確保でき、観覧客が十分に収容できる広さを確保する必要があります。
ウェビナーの配信機材をしっかりそろえよう
今回は、ウェビナーを配信する方のために、機材のそろえ方や選定方法について解説しました。配信を行うには決めなくてはならないことも多く、手間と時間がかかります。また、専門知識がなければ思わぬところでミスをしてしまい、「せっかく高い機材を購入したのに、活用できなかった」ということもあり得るでしょう。
こんな方におすすめ
リスクを避けたい方は、当社にご相談ください。ウェビナー配信について知識を経験を持ったスタッフが、お客様が配信したい内容や予算をもとに、適切な機材をご提案します。また、会場選定なども幅広くコンサルティングいたしますので、どんなことでもお問い合わせください。